キャンプネームとは?名前の決め方と子どもへの効果 PR含む

アウトドア団体やNPO法人などが主催する教育キャンプ(組織キャンプ)では、本名ではなく、キャンプネームで大人も子どももお互いを呼び合います。
「キャンプネーム」は野外教育業界では当たり前に使っている用語ですが、一般的にはあまり馴染みがない言葉かと思います。
そこで今回は、初心者向けにキャンプネームとは何か、名前の決め方や効果などをご紹介します。
青少年教育・野外教育に10年以上携わってきた自然体験教育者がわかりやすく解説しますよ。
キャンプネームとは「あだ名」のこと

キャンプネームとは、自然体験教室など組織が運営する教育キャンプで使われる「あだ名」です。
キャンプでは子どもも大人もお互いにキャンプネームで呼び合うので、スタッフであれば、最初の自己紹介で子どもに自分のキャンプネームを発表します。
参加者の場合は、キャンプ初日に決めるのが通常です。
ちなみに私のキャンプネームは、市役所職員時代からずっと「まっつん」です。
キャンプ中は大人も子どもも関係なく、「まっつん」と呼んでもらっています。
キャンプネームには「キャンプ」の名称が付いていますが、野外活動ゲームやクラフトなどのアクティビティでも使用されます。
私の経験上、子ども対象の野外活動では多くのスタッフがキャンプネームを名乗ります(中には本名で自己紹介するだけの人もいますが)。
キャンプネームはあくまで組織キャンプで付けるものなので、家族や友人とのキャンプではほぼ使いません。
家族キャンプで「今日はお父さんのことを『たけぽん』と呼んでね 」と急に言われたら、「おいおい、どうした?」と思いますしね(使うのは自由です)。
キャンプネームの必要性と4つの効果

正直、キャンプネームを決めなくても、キャンプは問題なく進行します。
キャンプネームがなくても、プログラムの進行自体に影響はありません。
では、なぜ使うのか?
キャンプネームを使うことには、以下のようなメリットがあるからです。
- 上下関係だけでなく、横の関係も作れる
- 子どもとの心の距離が近くなる
- 初日のアイスブレイクになる
- 学校や日常生活とは違った、自分になれる
順番に説明していきます。
(1)上下関係だけでなく、横の関係も作れる
学校では、教師は「先生」、子どもは「児童・生徒」であるため、「教える・教えられる」という上下関係が自然と生まれます。
ただ、この上下の関係性だけでは親近感を持ってもらいにくく、「子どもが心を開いてくれない」と感じる場合があります。
特に、初対面であればなおさらです。
そのため、教育キャンプではキャンプネームを使って、横の関係をつくる努力します。
キャンプネームを決めると、子どもは大人に対して「あだ名」で呼ぶことになるため、先生でありながら友達に近い感覚が生まれやすくなります。
もちろん、教える側には指導上の安全管理義務などがあるため、時に上下関係も用いますが、「子どもたちをリラックスさせる」「楽しませる」工夫として横の関係も必要です。
(2)子どもとの心の距離が近くなる
キャンプネームには、スタッフと子どもの心の距離を近づける効果が期待できます。
私の場合、キャンプで「松崎さん」と子どもに呼ばせてもいいのですが、それだと大人と子どもの上下関係が強すぎて、親近感を感じてもらうのに時間がかかる可能性があります。
当然、キャンプネーム一つで、心の距離が一気に縮まるわけではありませんが、「松崎さん」よりも「まっつん」の方が親しみやすく、同じ先生でも、学校の先生とは違った特殊感があるでしょう。
また、子ども自身も活動中はキャンプネームを使用すると、友人関係を築きやすくなります。
キャンプによっては子どもの参加人数が40名以上いる場合もあり、グループごとに活動するとはいえ、子ども同士もすぐに顔と名前を覚えるのは難しいものです。
特に、相手が初対面の子だと「何て呼んだらいいんだろう……」と戸惑うこともあるでしょう。
その点、キャンプネームがあると相手の呼び方に困ることがなくなり、話しかけやすくもなります。
キャンプネームには、スタッフと子ども、子ども同士の心の距離を近づける役割があるのです。
(3)初日のアイスブレイクになる
キャンプネームがおもしろい名前やユニークな名前だと、自己紹介でちょっと盛り上がります。
参加者の中には、初めて会う大人のスタッフに「どんな人だろう」と不安を抱いている子もいます。
そんなとき、
「こんにちは。私の名前は<もちもち>です」
みたいな、ゆるふわの名前で挨拶をされたら、ちょっと緊張もほぐれませんか?
クスッと笑えたり、場を和ませたりするキャンプネームには、子どもの不安を解消する効果もあります。
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(4)学校や日常生活とは違った、自分になれる
キャンプネームをつくることで、普段の自分とは違った自分になることができます。
子どもの中には、普段の生活で呼ばれているニックネームに不満を持っている子もいます。
たとえ不満はなくても、「この名前で呼ばれてみたい」と思っている場合もあります。
ですが、こういった気持ちはなかなか普段は言えません。
ゲームの中で、現実の自分とは全然違ったキャラを自分のアバターにするように、キャンプという非日常空間を使って、キャンプネームをきっかけに、新しい自分になることができます。
【指導者向け】キャンプネームの決め方

キャンプネームの決め方にルールはありません。
ただ、いきなり「キャンプネームを決めて」と言われても結構困りますよね。
「あまり奇をてらったものや、狙いすぎたものだと恥ずかしい」など、いろいろと考えてしまうでしょう。
ヒントとして、キャンプネームを決め方には、以下のような方法があります。
- 普段のあだ名をそのまま使う
- 友達に決めてもらう
- 自分の名前をヒントに考える
- モノなどの名前を借りる
決め方のポイントしては、
自分が呼ばれてイヤに感じず、かつ子どもに覚えてもらえて、呼びやすい名前を考えてみるといいでしょう。
私のキャンプネーム「まっつん」は市役所職員の頃に、青少年ボランティア団体に所属をしていた女子高校生たちから付けてもらいました。
それ以来、キャンプでもレクリエーションゲームでも、野外活動では「まっつん」と名乗っています。
自分で決めるのが恥ずかしい人は、誰かに決めてもらうのが一番いいですね(私はそうでした)。
昔、出会った野外教育関係者の中には、自分の苗字や名前をそのまま使っている人もいました。
たとえば「八木さん」だと、そのままカタカナで「ヤギ(山羊)」みたいな。
名前:八木さん
▶︎ キャンプネーム:ヤギ(山羊)
他に、頭の形が似ているという理由で、「たこやき」と自分で名付けている人もいました。
本が好きな人なら、モノから名前を借りて「ブック」などもいいでしょう。
それにキャンプネームは一度決めたら、一生そのまま使わないといけないものではありません。
途中で、もっとしっくりくる名前に変えたり、新しいキャンプネームにしたりしてもいいのです。
ぜひ、気楽に考えてみてください。
子どもにキャンプネームを決めさせるときの注意点

教育キャンプではスタッフの自己紹介の後、キャンプネームを参加者に決めてもらうことがあります。
その際、基本的には自由に決めてもらっていますが、以下の点には注意しています。
- ふざけすぎていないか
- 本人に納得感があるか
子どもに「キャンプで呼ばれたい名前を決めて」と言うと、どこから共なく「うんこ」「おしり」などといった声が聞こえてきます。
そういった、ふざけすぎたキャンプネームはたいてい却下です。
その場のノリで言っているだけで、キャンプ期間中、ずっとそう呼ばれることを本人は考えていないからです。
ただ、キャンプネームにはおもしろさやユーモアも大事なので、その線引きが難しいと感じるときもあります。
また、キャンプネームは、本人に納得感があるかも重要です。
キャンプでよくあるのが、本人がどんな名前にしようか悩んでいるときに友達から
「〇〇ちゃんは、いつも通り〇〇ちゃんでいいじゃん」
と言われてしまうケースがあります。
それ自体は問題ないのですが、本人の表情を見るとあまり納得していないと感じる場合があります。
そういったときは、「自分が呼ばれたい名前でいいんだよ」とスタッフが仲介に入るべきです。
参加者にキャンプネームを決めさせるときは自由にさせながらも、ある程度スタッフが場をコントロールしなくてはなりません。
すぐにキャンプネームで呼べない子がいるのは当然

大人のスタッフが自己紹介でキャンプネームを伝えても、すぐに子どもが呼べるとは限りません。
なぜなら、学校や私生活では、子どもが大人のことをあだ名で呼ぶ機会はほとんどないため、違和感を覚える子もいるからです。
そりゃそうですよね。
そもそも自然の中で人を育てる「野外教育」の概念は、アメリカから日本に入ってきたものです。
おそらくキャンプネームも、アメリカのやり方をそのまま日本に導入したのでしょう。
そのため、上下関係を重んじる日本人の感覚すると、キャンプネームに違和感を覚えたり、戸惑ったりするのは当然です。
しかし、スタッフや他の子どもたちがキャンプネームで大人を呼ぶ姿を何度か目にしていけば、最初は躊躇していた子も「呼んでいいんだ」「大丈夫なんだ」と、だんだん思ってくれるはずです。
指導者はすぐにキャンプネームで呼んでくれない子がいても気にせず、けれど、自分はその子のことをキャンプネームで呼んであげるようにすると、徐々に関係性を築いていけるでしょう。
まとめ

キャンプネームとは、教育キャンプ中に使う「あだ名」です。
キャンプネームがなくても野外活動は進行できますが、初対面の子どもの緊張を解きほぐしたり、コミュニケーションを円滑にしたりする効果がキャンプネームには期待できます。
キャンプネームの決めるときは、自分が納得できる、呼ばれたい名前にすることが大切です。
スタッフにとっても参加者にとっても居心地の良い、そんな素敵な場をつくってみてください。
Wrote this articleこの記事を書いた人
松崎 清央
自然体験教育者/イベントプランナー。【経歴】4年間市役所職員として、子どもの自然体験活動の企画・運営など青少年教育事業を担当。退職後はアウトドア専門学校に入学し、登山やキャンプなどの知識技術・安全管理・自然知識を学ぶ。その後、独学でWEBライティング技術を習得。ブログ月間1万5千PV達成。現在フリーランス。