今回は、樹木を調べる方法の【中級編】です。
前回の初心者編では、樹木の名前を調べる基礎的な方法をご紹介しました。
まずは簡単に、内容をおさらいしておきましょう!
・樹木を調べるときに重要なのは「葉っぱ」
・図鑑とセットで調べる
・図鑑は、葉のイラストが大きく載っているものがおすすめ
【初心者編】を読んでいない人のために、以下にリンクと参考本も貼っておきますね。
>>>【初心者編】「これってなんの木??」樹木の名前を調べる方法
中級編では、葉っぱの形や特徴、見分け方についてご紹介します。
これがわかると、図鑑やネットで葉の特徴をもとに、知りたい樹木の名前が検索できるようになります。
そのためあえて専門用語を使用していますが、図解でわかりやすく説明するので、ぜひ読んでみてくださいね。
【まずは基本を】樹木には広葉樹と針葉樹がある
樹木には、広葉樹と針葉樹の2種類があります。
広葉樹と針葉樹については学校の授業でも習うので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
広葉樹は広い葉を持った、全体的に丸い形をした木です。
サクラやカエデ、ウルシ類など数多くの種類があり、街路樹としてもよく植えられていますね。
一方の針葉樹は、針のような葉を持つ木です。
マツやスギなどが代表的で、全体的にはクリスマスツリーのような三角形の形をしています。
広葉樹と針葉樹の区別は基礎的な知識ですが、樹木を調べるうえでは、ここがスタート地点です。
最重要ポイント!葉の形の種類と特徴
樹木には似た形がたくさんあるので、いざ調べても「わからないなー」と思うことはよくあります。
でも、葉の形と特徴がわかれば、ネットでも図鑑でも一気に調べやすくなりますよ!
単葉と複葉とは?
図鑑やネット図鑑で、樹木を調べようとすると「単葉」「複葉」という用語が出てきます。
単葉とは、一つの葉の面からなる葉のことです。
たとえば、卵形やハート型などの切れ込みなしの葉、カエデ類などの切れ込みありの葉が、単葉に該当します。
一方の複葉とは、“ 小葉 ” を含んだ葉のことです。
小葉はパッと見だと一枚の葉に見えます。
しかし実際は葉の一部であって、それ単体で「葉」と呼ばれるわけではありません。
ややこしい言い方になっていますが、複葉とは、何枚かの小葉が集まって「一枚の葉」と呼ばれる種類ということです。
このあたりは葉っぱを見慣れてくると区別がつくようになるのですが、最初のうちは難しいもの…..。
単葉と複葉については、この後で詳しく説明します。
そのためここでは、「単葉と複葉というのがあるんだな〜」とザックリ覚えておくだけで大丈夫です。
葉の区別は、“ 芽の位置 ” でする
「小葉」というややこしいヤツが登場したので、「じゃあ、どこからが葉なの?」と思った方も多いでしょう。
「どこからが葉か?」という葉の区別は、芽の位置で判断します。
芽の位置を見れば、単葉(一枚面の葉)か、複葉(小葉のある葉)なのかが、簡単に見分けられます。
単葉であれば、葉のわきに芽があります。
しかし小葉の場合は、わきに芽がありません。
小葉であれば、もう少し枝に近いに場所に、芽がついているはずです。
「単葉なのか、複葉なのかわからない…」というときは、ぜひ芽の位置に注目してみてください。
あなたが見たのはどれ?4つの葉の形と特徴
おそらく街中やキャンプ場で「この木なんだろう?」と思う多くは、広葉樹だと思います。
針葉樹はマツとかスギとか割と地味なことが多く、広葉樹の方が見栄えがするので(あくまで主観です)。
そのためここでは、4種類の広葉樹の葉の形をご紹介します。
・不分裂葉(ふぶんれつよう)
→ 単葉・切れ込みなし。例:サクラ類
・分裂葉(ぶんれつよう)
→ 単葉・切れ込みあり。例:カエデ類
・掌状複葉(しょうじょうふくよう)
→ 複葉・小葉3枚、5枚など。例:トチノキ
・羽状複葉(羽状複葉)
→ 複葉・小葉たくさん。例:ヤマウルシ
ちょっと名前が難しいですが、別に覚える必要はありません。
ゴールは、知りたい木の名前がわかることですからね。
以下でそれぞれの葉の形について、わかりやすく解説します。
(1)街中でもよく見かける!不分裂葉(単葉・切れ込みなし)
卵形やハート型、細い長い形をした、切れ込みのない葉を「不分裂葉」と言います。
いわゆる普通の葉っぱの形ですね。
(2)ギザギザが特徴!分裂葉(単葉・切れ込みあり)
カエデ類など、深い切れ込みのある葉っぱが「分裂葉」です。
トンガリがいくつもあるギザギザした形をしているので、先に紹介した不分裂葉よりも、ちょっと図鑑で調べやすいですね。
ただ中には、切れ込みがハッキリしていない分裂葉もあります。
(3)分裂葉とは別モノ!掌状複葉(小葉3枚・5枚など)
掌状複葉は、3枚・5枚の小葉が集まってできた葉です。
例としては、トチノキやコシアブラなどがありますね。
葉の形が指先を広げたように見えるので、名前に“掌(てのひら)”の字が入っているのだと言えます。
掌状複葉は、単葉の分裂葉と形が似ていますが、よく見ると違います。
単葉の「分裂葉」は葉に切れ込みが入っているだけで、葉は分断されていません。
しかし「掌状複葉」は、葉が完全に分断されて別々になり、“小葉” として存在しています。
掌状複葉には、一般的に小葉が3枚または5枚ありますが、カエデ類に代表する「分裂葉」には小葉がありません(切れ込みがあるだけで、葉は一枚面でつながっている)。
もし単葉(不分裂葉と分裂葉)と、掌状複葉のどっちなのかわからない場合には、芽の位置を見て区別しましょう。
(4)これで一枚の葉!?羽状複葉(小葉が多い)
羽状複葉は「本当にこれで一枚の葉!?」と思うほど、小葉がたくさんある葉っぱです。
初心者だと、本当に単葉と区別しにくいですね。
葉のサイズも、およそ小葉とは呼べないくらいに大きい場合があるので、混乱するのも無理はありません。
単葉との区別は、掌状複葉と同じく、芽の位置を見れば大丈夫です。
花や実がないときも「どこに芽がついているのか」を確認できれば、単葉か複葉かを区別できます。
ただし羽状複葉には、ヤマウルシやヌルデなど、かぶれる種類も含まれるので、十分に注意しましょう。
【その他】葉っぱを調べるときの3つのポイント
上記の4つの葉の形が理解できれば、名前が知りたい樹木の種類はかなり絞れます。
ですが、それでも確信が持てないときがあるのが、樹木の奥深いところ…。
そんなときは、以下の3点に注目してみるといいでしょう。
(1)葉のフチの形
※ 広葉樹のみ(針葉樹では考慮しない)
葉のフチの形も、樹木を調べるうえでヒントになります。
葉のフチをよく観察すると、ギザギザのある種類とない種類があることに気がつくでしょう。
樹木用語で、葉のフチにあるギザギザのことを「鋸歯(きょし)」と呼びます。
「この葉には鋸歯がある(ない)」といった言い方をしますね。
鋸歯の形もさまざまで、ノコギリのように細かく鋭い形もあれば、波状の丸い形をしたものなどがあります。
その中でまったく鋸歯がなく、フチがつるっとした葉は「全縁(ぜんえん)」と呼ばれます。
(2)葉のつき方
※ 広葉樹のみ(針葉樹では考慮しない)
葉のつき方とは「枝から葉がどのように出ているか」ということで、「互生(ごせい)」と「対生(たいせい)」の2パターンがあります。
両者の見分け方は、簡単です。
調べたい樹木の枝を見て、葉が一枚ずつ交互についていれば「互生」、2枚セットで左右についていれば「対生」です。
(3)落葉と常緑
落葉と常緑とは、簡単に言えば「葉っぱが落ちる樹木かどうか」ということです。
落葉は冬になると葉っぱが落ちる木で、常緑は一年中葉っぱが付いている木です。
特徴として、落葉樹は葉の質が柔らかく、表面のツヤは少なめとなっています。
一方の常緑樹は、葉の質が厚めで堅く、表面にツヤのあることが多い樹木です。
まとめ
今回の中級編では、葉っぱの形の種類や特徴についてご紹介しました。
正直、ある程度の樹木知識があっても、特定の樹木を調べるのは難しいと感じます。
樹木を調べるときの一つのポイントになるのは、やはり “芽の位置” ですね。
「どこからが葉かわからない」ときも芽の位置さえわかれば、単葉と複葉の区別も、葉のつき方も区別できます。
ぜひご紹介した葉のポイントに加えて、花や実もヒントにしながら、お目当ての樹木を探してみてくださいね。
【中級編】まとめ
・樹木には広葉樹と針葉樹がある
・葉の形は4種類。単葉は一枚面の葉で、切れ込みなし&ありの2種類がある。複葉には「小葉」があり、手の平形と羽形の2種類に分かれる
・「どこから葉なのか」は、芽の位置で区別できる
・葉のつき方やフチの形も、調べるヒントになる