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「ありがとう」の気持ち

今の生活に感謝できる子どもに。自然体験で育つ「ありがとう」の気持ち

「ありがとう」の気持ち

子どもには、普段豊かな生活ができていることに、感謝できるようになってほしいと思いませんか?

登山やキャンプなどの体験をすると、普段どれだけ豊かな生活をしているかに気づけるため、日常への「ありがとう」の気持ちが強くなります。

また、「ありがたいなー」と思う機会が増えれば、幸せを感じる時間も多くなっていくもの。

自然体験には、子どもの「ありがとう」の気持ちを育てる要素が詰まっています。

日常生活に感謝することは、案外むずかしい……

「今の生活は当たり前じゃない。だから感謝しましょう」というのはよく言われることですが、やってみると案外難しいものです。

「ありがたいなぁ」と言葉にするのは簡単ですが、「本当にそう思ってる?」と聞かれると、急に怪しく思えてしまうこともあります。

まして、子どもに「お母さんがやっていることは当たり前じゃないんだよ」と言っても、なかなかその本質を理解することは難しいでしょう。

お母さんへの感謝の手紙

私は小学6年生のとき、学校の先生に「お母さんに感謝の手紙を書きましょう!」と言われた経験があります。私は一生懸命になって、普段やってもらっていることや感謝すべきことなどを書き出しました。

いつもご飯を作ってくれること、暖かい服を着させてくれること、家の掃除をしてくれることなど、「ありがとう」と思えることを精一杯考えたわけです。

でも、それには少し違和感を感じていました 。

確かに両親に対する感謝の気持ちはあります。

ですが、どうも自分が恵まれている、豊かであるとは、本当の意味で思えなかったわけです。

頭の中で「ありがたいなー」と思ってはいるけれど、心ではそう感じきれていませんでした。

同じように、水道から水が出ることや電気が使えること、暖かい布団で眠れることのありがたみは、誰もが頭の中では理解できるでしょう。

これらは間違いなく私たちの生活を豊かにしているからです。

でも、その豊かさに慣れてしまうと、日々にの暮らしがどれだけ快適で幸せかということに気がつかなくなります。

不自由のない日常生活がスタンダードで、当たり前になってしまうわけです。

自然体験で育つ「ありがとう」の気持ち

私はアウトドア専門学校で、登山やキャンプなどフィールドワーク中心の実習を数多く経験してきました。

山でのテント泊や雪洞泊、川遊びなどの自然体験で、ときに寒い思いや暑い思いしたことで、日常生活がどれだけ快適か身に沁みて分かるようになった気がします。

すぐに水が飲めること

水道からジャブジャブ水が出て、思いきり水が飲めること。私が3泊4日の登山実習から帰ってきて、一番うれしかったことの一つです。

登山は行き先によっては、水場というところでしか水が手に入りません。持参した水筒の水がなくなると、移動中に水が飲めなくなるので大切に飲みます。

冬であれば、雪を溶かして飲み水をつくることもできますが、当然ガスコンロや電子レンジなんてないので、時間がかかります。

「早くお風呂に入りたいな」と思うこともしょっちゅうです。

ですから、家で自由に水が使えることに、ありがたみを覚えるわけですね。

電気が使えること

キャンプなどをしていると、本当にいつも電気に頼った生活しているんだなということに気づかされます。

夜はヘッドライトで行動しないといけないのはもちろん、暖かい飲み物を飲むのでさえも、いちいちガスバーナーで湯を沸かさなくてはなりません。家にいれば、ポットや電子レンジで一瞬なのに。

電気のない生活は、停電などで経験されている方も多いと思いますが、テント泊などの自然体験をすると、より電気が使えるありがたみが分かるような気がします。

家が暖かいこと

暖かいことは、本当にそれだけでありがたいものです。雨や雪の降る中、外歩いて帰ってきたとき、部屋が暖かかったら、それだけで幸せを感じませんか?

アウトドアでは天気が急に変化することも多いので、寒い思いをすることもしばしばあります。宿泊で行くような登山は、持っていく着替えも少ないので、濡れた衣服は着て乾かすことも。

だからこそ、暖かいご飯や飲み物、衣服、お風呂など、日頃当たり前に感じている “暖かい” ということにも、本音で感謝したくなるのです。

お菓子やパンなど、食べたいものが食べられること

普段、私たちは「お菓子が食べたいな」と思えば、コンビニに行って買うことができます。パンが食べたいなと思えば、菓子パンでも惣菜パンでも、いくらでも買うことができます(おサイフの許す限りで)。

私の場合は、登山でほとんど水しか飲み物がない環境だったので、「帰ったら、コーラを飲もう!」といったことを考えていました。あとは、大福が食べたいとか……。

ですから、実習が終わって、好きなものが食べれたときは、とても幸せに感じました。何かを我慢しないといけない環境に身を置くことで、それがあるときの喜びや得たときの満足感を味わうことができるわけです。

苦労した体験が、感謝の気持ちを育てる

率直に言って、アウトドアや自然体験とは、不便なことが多い活動です。水も自由に使えない、電気もない、コンビニもないなど、ないない尽くしの活動です。

ですが、だからこそ、普段の生活で当たり前に存在するものの “ありがたみ” に気づくことができます。

少し不便さを感じるような苦労した体験が、感謝の気持ちを育てるわけです。

  • 自分で作らなくても、暖かいご飯が出てくること
  • 毎日、お風呂に入れること
  • トイレがきれいなこと
  • 車で送り迎えしてくれること
  • 電子レンジが便利なこと、などなど

とはいえ、一度キャンプや登山に行ったくらいで、急にすべてに感謝しだすということはないと思います。

ですが、少なくとも今までよりは、お母さんやお父さん、日々の生活への「ありがとう」の気持ちが強まるはずです。

まとめ

登山やキャンプといった自然体験をすると、”これが当たり前” という基準が揺らぐため、生活レベルの幅を知ることになります。

電気がある生活は当たり前じゃない、ご飯を作ってくれることは当たり前じゃないということが分かるため、少しずつ感謝の気持ちが生まれるわけです。

恋愛もそうですが、私たちは失って初めて、その価値に気づくことがあります。

アウトドアの場合は、いっとき日常生活から離れるだけで家などを失うわけではないですが、「今の生活がどれだけ豊かなのか?」に気づくには十分な時間です。

ですから、時々は、いつもあるものが “ない” 暮らしをしてみるといいかもしれません。

感謝の気持ちが深くなると、日常で幸せを感じることも多くなりますよ。

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