自然体験教育者の松崎です。
私は2013年に公務員を退職後、国際自然環境アウトドア専門学校へ入学し、卒業しました。
世の中にアウトドアの専門学校があるなんて知らない人も多いので、たいてい自己紹介で「アウトドア専門学校を卒業しています」というと、「どんなことやるの?」と聞かれます。
卒業生の私から見ても異色の学校で、どんな授業をするのもかイメージしにくいので、普通の感覚からすれば「それもそうだな」という感じですね。
そこで今回は、私がアウトドア専門学校で実際にやった授業について、思い出せる範囲でご紹介します。
今は授業内容も多少変わっていると思いますが、興味がある人は参考程度に読んでみてくださいね。
フィールドワークが基本多め。室内授業もある
新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校では、フィールドワークの授業が中心です。
妙高エリアは、妙高戸隠連山国立公園にも指定されているほど、山や川、森林などの自然環境が充実しています。
四季折々の多彩なアクティビティが楽しめるため、夏は登山やキャンプ、シャワークライミング、冬は世界屈指の豪雪地帯となることからウィンタースポーツの地としても有名です。
とはいえアウトドア専門学校では、毎回外の活動ばかりしているわけではなく、一般的な学校でやるような室内授業もあります。
だいたいフィールドワーク系の授業が6〜7割で、残りが室内授業という感じですね。
どんなことするの?アウトドア専門学校の授業内容
アウトドア専門学校は、学科によって授業カリキュラムが違います。
山岳・登山に特化した学科もあれば、子どもの野外教育を専門にする学科、野生動物・生物を専門にする学科、スポーツインストラクターを目指す学科などがあります。
中には各学科共通の授業もありますが、私は野外教育の専門だったので、ご紹介する授業はそこでの内容だと思ってくださいね。
登山やキャンプ実習
一番アウトドア学校らしい授業と言えますね。
全学科共通で約30人ほどで3泊程度のキャンプに行ったり、縦走登山をしたりといった授業をしました。
私は入学当初、登山やキャンプの知識もほとんどなかったので、1年生の春頃は本当何もわからなかったですね。
アウトドア専門学校には、燃料類や食器、テーブル、チェアなど団体装備一式がある倉庫があるので、登山やキャンプ実習の際は、そこから必要なものを持っていきます。
山でよく見る、大きなリュックを背負うのもこの授業です。
カヤックやボルダリングなど各種アウトドアスポーツ
私の学科では、大半のアウトドアスポーツはやったのではないかと思います。
スキーやスノボ、BC(バックカントリー)、釣り、トレイルランニング、カヤック、クライミング・ボルダリングなどですね。
山岳に特化した学科だと、高度なクライミングや登山の授業もありますが、私の学科は「子どもの教育」を中心とした授業なので、広く浅くアウトドアスポーツを経験するといった感じでした。
ただ浅くと言っても、カヤックは実際に川で漕ぐし、トレランの大会では50km走破したので、「下手したら死ぬのでは?」と思うことも多々ありました。
子ども向け野遊びの企画・実施
私がいた野外教育学科だけでやっていた、専門の授業です。
学生が子どもを対象にした水遊びや森の活動、工作などの野遊びを企画して、参加者を募集し、実施するという実践的な授業(というか本番)ですね。
野遊びイベントはだいたい毎月一回あって、一人一回は企画の担当者を務めるルールでした。
2年生と3年生の合同授業だったので、毎回グループで「あーでもない、こうでもない」と話し合っていましたね。
私の場合、市役所職員の頃に、ほぼ同じようなことを給料をもらってやっていたので、「今度は学校にお金を払ってやっている」という不思議な授業でした。
田んぼや川で、生き物採集
授業なのか遊んでいるのか、よくわからない授業です。
アウトドア専門学校は、私のように社会人経験を経て、入学してきた人が多いので、いい大人たちが泥だらけになって、川に入って生き物を捕まえている姿は、はたから見て面白かったと思います。
網でちょうちょを捕まえたり、虫を捕まえたりする活動はわりと好きです。
地域行事への参加
学校の近くにある集落の地域行事にも、授業の一環で参加しました。
確か綱引きやリレーなどをやる、運動会的な行事だったと思います(うろ覚え)。
いろいろな授業があります。
登山・自然ガイド訓練
ガイドには登山ガイドと自然ガイドの2種類があり、私は自然ガイドを目指す方でした。
普段の授業では近くの森や池に行って、ガイドの基礎技術や行動を学び、実習では現役ガイドにお手本を見せてもらったり、ノウハウを習って集中的に勉強していましたね。
ちなみに国際自然環境アウトドア専門学校は、教育機関において『日本山岳ガイド協会』認定する、日本唯一の自然ガイド養成校です。
樹木観察
この授業、好きでした。
正式には「樹木同定(じゅもくどうてい)」という授業で、簡単に言うと木を見て、名前や特徴を覚える授業です。
自然ガイドとしてお客さんを案内したり、木の野遊び企画をしたりするときには必要な知識ですね。
授業は一年生の最初の頃にあって、そこで樹木がわかるようになってから、街中や自然の中でもよく木を見るようになりました。
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チェンソーの扱い方を習得し、実際に木を切る
林業系の仕事に就きたい人もいるためか、チェンソーを使う授業もありましたね。
チェンソーを分解して組み立てたり、使い方を学んだりして、最終的には実際に森に入って、高さ10mくらいの木を何本か切りました(ありえない)。
こういうの、好きな人は好きなんじゃないでしょうか?
実習終了後には、チェンソー取扱いに関する資格ももらえます。
自然にかかわる資格取得を目指す授業
先ほどのチェンソーもそうですが、アウトドア専門学校では、自然にかかわるさまざまな資格が取れます。
当時あったのは、ネイチャーゲームやキャンプディレクター、国内旅行業務取扱管理者、生物検定などですね。
資格取得に関するものは数が多いので、ここではひとまとめにしました。
基礎的なパソコンの授業
普通の学校と同じように、パソコンの授業もあります。
ワードやエクセルなどを使った基礎的な授業なので、仕事でパソコンを使う社会人経験者であれば、そう難しい内容ではありませんでした。
自己啓発系の授業
メンタルの重要性もわかっているためか、自己肯定感を高めるような自己啓発系の授業もありましたね。
「神々を信じよ…」みたいな宗教的な内容ではなく、「苦しい局面での心の持ち方」「明るい気持ちで過ごす」みたいな授業だったと思います。
私がこの手の自己啓発分野に興味があるということもありますが、アウトドアでは、突然どんな過酷な状況に陥るかわからないので、個人的にはこういう心理面の勉強も大事だと思いますね。
ただ、内容が内容だけに、結構みんなリラックスして受けていた感じです。
コミュニケーションやマナーの学習
社会人としてのコミュニケーション力やマナーに関する授業です。
正直、社会人経験者としては「こんなのいいよ」と思う内容でしたが、高卒で入学した子にとっては一応必要ですよね。
「アウトドア」という異色の学校なので、一応常識的なことも知っておかないと、普通の会社に勤めたときに困る可能性があるので….。
まとめ
今回は思いつくままに、アウトドア専門学校で私が体験した授業についてご紹介しました。
授業によっては(体力的にも精神的にも)ハードだなと思うこともありましたが、中には「これが授業?」と思うものもありました。
他の専門学校がどんな感じかはわかりませんが、大学とは全然違いましたね。
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