『センス・オブ・ワンダー』は、自然の美しさや感性の大切さについて書かれた物語形式の本。
心の豊かさに注目した本は、たった60ページの中にも、子どもの心を育てるエッセンスが詰まっています。
子どものいる親から保育士、野外教育関係者にまで、読んでほしい一冊です。
自然の感じ方を教えてくれる『センス・オブ・ワンダー』
『センス・オブ・ワンダー』は、自然の神秘や感性の大切さについて物語形式で語られた本。
たった60ページで書かれた本なのでサクッと読めますが、あちこちに感性を育てるためのエッセンスが散りばめられています。
著者のレイチェルカーソンは、歴史を変えた一冊といわれる著書『沈黙の春』で有名な人物です。
当初レイチェルは、雑誌に掲載していた『センス・オブ・ワンダー』の内容をもっとふくらませたい」と思っていました。
しかし、レイチェルはそれを成し遂げる前に亡くなってしまいます。
『センス・オブ・ワンダー』が単行本になったのはレイチェルの死後のことで、彼女の友人達が出版しました。
『センス・オブ・ワンダー』を読んだ後に想像力が刺激され、少し物足りなさを感じるのは、いまだ未完成の作品だからなのかもしれませんね。
『センス・オブ・ワンダー』のあらすじ
レイチェルが甥のロジャーと自然の中を探検し、星空や夜の海を眺めた経験をまとめた物語。
自然の美しさや神秘を一緒に観察しながら、生き物とかかわる暮らしや命の大切さをレイチェルはロジャーに教えていきます。
子どもに『センス・オブ・ワンダー(=神秘さや不思議さに目を見はる感性)』を授けたい、大人たちに贈る一冊です。
「感じる」ことは「知る」ことよりも、ずっと価値がある
『センス・オブ・ワンダー』でレイチェルは、「感じる」ことの大切さを何度も主張しています。
子どもが生き物や植物などについて「もっと知りたい」と思うには、まず「おもしろい」「楽しい」「不思議」などの感情を呼び起こすことが必要だからです。
わたしたちは、嵐の日も、おだやかな日も、夜も昼も探検にでかけていきます。それは、なにかを教えるためにではなく、いっしょに楽しむためなのです。
センス・オブ・ワンダー(P10)
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」こと「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
センス・オブ・ワンダー(P24)
生き物や植物の名前などの知識は、あとからスマホやパソコンで検索すれば、いくらでも覚えることができます。
だからまずは、夜の海で見たカニ、森の中を覆っていたコケ、ヘンな形のキノコなどを見つけたことを楽しむべきだと。
特に大人は辞書的な名前や意味をつい求めてしまいますが、そんなことは後回しでいいんです。
「考えるな、感じろ」、ということですね。
それに興味のないことって、教えられてもすぐに忘れてしませんか?
たとえば、知り合いに Hey!Say!JUMP ファンの人がいたとします。
その人からメンバーの写真を見せられて、「左が中島くんで、真ん中が有岡くん、その隣が髙木くんで…」と説明されても覚えられないのと一緒です。
大人も一緒に感性を磨く
レイチェルは子どもだけでなく、大人も感受性を学び直すことが必要だと言っています。
子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなたの自身の感受性にみがきをかけるということです。
センス・オブ・ワンダー(P28)
森や海などに出かければ、子どもはさまざまな遊びやおもしろいことを発見するでしょう。
でも、中には子どもだけでは気がつかないこともあります。
たとえば、鳥の鳴き声や風の音、きれいな星空、雪の結晶などです。
そんなときは大人が一言「鳥が鳴いているよ」「星がきれいだね」と言って、きっかけをつくってあげると、子どもも気づくことができます。
星の名前は教えられなくても、共感してあげることはできる
レイチェルは、親などに自然の知識がない場合について、次のように言っています。
たとえ、たったひとつの星の名前すら知らなくとも、子どもたちといっしょに宇宙のはてしない広さのなかに心を解き放ち、ただよわせるといった体験を共有することはできます。
センス・オブ・ワンダー(P31)
星のことも宇宙のことも何も知らなくても、子どもと一緒になって「すごいなぁ…」と、黙って夜空を眺めればいいわけです。
これならできそうが気がしますね。
まとめ
『センス・オブ・ワンダー』は、自然の神秘や感性の大切さを語った物語。ページ数は少ないので、空いた時間を使って読み終えることもできます。
知識よりも心の豊かさに注目した本は、子どもの好奇心を育てたいという方にもオススメです。
世界で読まれている名著を、ぜひ手に取ってみてくださいね。