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【地味で退屈?】ネイチャーゲームのアクティビティと対象年齢における考察

ネイチャーゲームは特別な自然知識が必要ないため、誰でも気軽に楽しめる自然体験活動です。

学校の先生など子どもの教育活動に携わっている方であれば、「ネイチャーゲームをやろうかな」と考えることもあるでしょう。

ただ、このネイチャーゲーム、私としては「意外と使いにくいな」と感じます。

私はネイチャーゲームリーダーの資格を持っていますし、自然体験プログラムの企画もしてきましたが、目にするゲームはたいてい決まったものです。

これは活動対象にもよると思いますが、どうしてもアクティビティが限定されてしまうんですね。

そこで今回は、ネイチャーゲームのアクティビティと対象年齢について私が思うことをお伝えします。

あくまで私の個人的見解なので、「そんな考えもあるんだなー」程度に読んでみてくださいね。

ネイチャーゲームのアクティビティは “地味”

こんなことを言うのは自然体験教育者としてどうなのかなとも思いますが、はっきり言ってネイチャーゲームは“地味”です。

“地味”というか、今の時代を考えると刺激が少ないんですよね。

ネイチャーゲームは、落ち葉や木の枝などの自然物と、自分の体を使った自然体験活動です。

道具をほとんど必要としない点はネイチャーゲームのメリットですが、感性や発想で楽しんだりする部分が大きいので、現代人にとっては「退屈だ」と感じやすいと思います。

そりゃそうですよね?

今は、スマホゲームやYouTubeなど身近に刺激の強い遊びが溢れているので、

「葉っぱを集めて、何か作ってみよう」

「この場所で、自分の好きな景色を探そう」

「3人で組んで、自分たちの体でキリンを表現してみよう」

と言われても、「あんま、おもしろそうじゃない」と感じやすいでしょう。

教育者視点に立てば、「それでも自然を学ぶための大事な活動だから」といえますが、心のどこで「ゲームそのものはおもしろくない」と思っていれば、当然、参加者も同じように感じる可能性は高くなります。

仮に自分がネイチャーゲームをおもしろい活動だと思っていたとしても、参加者は「おもしろい」と感じていない場合もあります。

その場合はプログラムを立案する際に、自分と参加者の間に感性のズレがないかを確かめた方がいいでしょう。

学校教育など半ば強制的に活動しないといけない状況であれば、たとえ活動がおもしろくなくても参加者は活動に参加してくれると思います。

ただ、こと自由参加のイベントにおいては、参加者が魅力的に感じるアクティビティを選ぶ、もしくは考案しなければ人も集まらず、リピートもされないでしょう。

ネイチャーゲームの対象は、幼児またはシニアがベスト

私の肌感覚としてネイチャーゲームの対象は、幼児またはシニアがベストではないかと感じます。

幼児とシニアにネイチャーゲームがウケる理由としては、

幼児:

・ちょっとした自然の不思議もおもしろがってくれる

・まだネットなどの刺激に慣れていない

シニア世代:

・ゆるやかで、体力を使わない活動が丁度いいと感じやすい

・四季や自然の味わい方を知っている

といったことが挙げられます。

先に幼児と書きましたが、小学校低学年も含むかなと思いますね。

一方で小学生高学年くらいになってくると、スマホゲームや動画などもっと刺激的でおもしろい活動に普段から触れているので、ネイチャーゲームでは刺激が少なく、「物足りない」と感じるようになる気がします。

20代や30代などの大人も同じです。

「この葉っぱ、何の形に似ているかな」などと言われても、よほど純粋な人でもない限り、そこにおもしろさを感じることは難しいでしょう。

そんな理由から普段、刺激の多い生活をしている年齢層にとってネイチャーゲームは、「退屈だな」と感じやすい活動だといえます。

アクティビティは、目的と対象者に合わせて選ぼう

ここまでネイチャーゲームについて「地味」「退屈」など好き勝手いってきたので、「じゃあ、小学生や中学生には使えないね」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

ネイチャーゲームの中には、小学生以上の人がやってもおもしろいと感じる遊びはあります。

たとえば、以下のようなアクティビティです。

  • カモフラージュ
  • コウモリとガ
  • 動物交差点

これらは実際に私が参加者として体験して、「おもしろい」と感じたものです。

特にカモフラージュはネイチャゲームの中でも鉄板で、ルール調整もしやすいので、まさに全年齢に使える活動だと思います。

学校教育などの現場では、 「〇〇を達成させたい」「〇〇を感じてほしい」など、“ねらい”を決めてネイチャーゲームを実施するため、必ずしも参加者の楽しさや満足度を優先できないこともあるでしょう。

しかし、子どもの意欲的な学びを引き出したいのであれば、ゲーム自体の楽しさにも注目してみるべきです。

「楽しい」「おもしろい」と感じる先にこそ、心の成長と探究心が待っています。

まとめ

今の時代、ネイチャーゲームは、地味で退屈な活動なのかもしれません。

現代人である私たちは、スマホゲームや動画を中心に強い刺激に慣れてしまっているので、そう感じるのも無理はないのでしょう。

だからこそ「このゲームは、本当に参加者が楽しめるものだろうか?」ということを考えて、対象年齢に合ったアクティビティを実施していく必要があります。

特に教育効果よりもエンタメが期待される自由参加のイベントにおいては、指導プログラムの“ねらい”以上に、参加者の気持ちが重要です。

楽しくなければ活動に積極的になることはありませんし、まして学ぶ気になんてならないですからね。

ネイチャーゲームの本質は、自然の不思議や仕組みを学ぶという“教育”にありますが、ゲームを実施する際は、“教育”だけに捉われないようにしたいところです。