野外教育を学んでいる人や教育関係者の中には、自然体験活動指導者の資格を取ろうかと考えている方も多いのではないでしょうか?
誰かに自然体験活動を教えるためには、自然の知識に加えて、安全管理技術の習得も不可欠です。
ただ、「就職先はある?」「本当に役立つの?」など、一般的な資格ではないだけに、取るべきかどうか悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、自然体験活動指導者になる方法と資格の取り方、就職先までをご紹介します。
私はアウトドア専門学校で自然体験活動指導者の資格を取り、現在は広くアウトドア関連の仕事をしています。
20代の頃は市役所職員として、自然体験プログラムの企画・運営など青少年教育を担当していました。
資格取得のメリット・デメリットもご紹介するので、「自然体験活動指導者に興味がある」という方は、ぜひ読んでみてくださいね。
自然体験活動指導者とは
自然体験活動指導者とは、キャンプや登山、ハイキング、自然観察、農林業体験など幅広いフィールドで、自然体験活動を教える人のことです。
文部科学省でも体験活動の重要性は示されており、子どもの生きる力を育成するうえで、直接モノに触れる活動は社会的にも求められています。
当然、個人や趣味の範囲で「自然を楽しむ」だけであれば誰でもできるので、特に資格は必要ありません。
ただ、魅力的な教育プログラムをつくり、安全に子どもたちを楽しませるためには自然の知識と安全管理能力が不可欠です。
自然体験活動指導者は、専門的な知識と技術をもって、人々に自然の魅力を伝え、楽しく安全に指導できる人を指します。
自然体験活動指導者になるには?資格の取り方
主な自然体験活動指導者の資格といえば、NEAL(ニール)ですね。
「ネイチャーゲーム指導者」も自然体験活動指導者の資格ではありますが、NEALの方が主流です。
そのためここでは、NEALの資格の取り方についてご紹介していきます。
NEALとは?資格の種類
NEALとは、Nature Experience Activity Leaderの略称で、全国体験活動指導者認定委員会が管理する、自然体験活動指導者の資格です。
NEALの資格は、以下の3つに分かれています。
NEALリーダー(自然体験活動指導者)
NEALインストラクター(自然体験活動上級指導者)
NEALコーディネーター(自然体験活動総括指導者)
NEALリーダーはNEAL資格の入門であり、一番最初に取れる資格です。
これだけでも正直十分なのですが、より専門的な資格が欲しい方や組織でスタッフをまとめたりする方は、インストラクターやコーディネーターの上位資格を目指すといいでしょう。
私はあまり資格取得に時間を費やしたくないので、NEALリーダーまでしか持っていません。
NEALの資格の取り方
NEAL(自然体験活動指導者)の資格は、養成講習会に参加し、修了することで取得できます。
講習会は全国各地で開催されており、〇〇自然学校、国立〇〇自然の家(交流の家)など全国体験活動指導者認定委員会が認めた養成団体が実施しています。
養成講習の授業内容は、共通のカリキュラムで実施されているので、どこの講習会に参加しても内容は変わりません。
また、NEAL認定校である専門学校や大学であれば、特定の授業カリキュラムをこなすことで資格が取得できます。
私もアウトドア専門学校の卒業なので、そんな感じでしたね(うろ覚え)。
NEALリーダーなら3日間で取れる
NEAL(自然体験活動指導者)の養成講習の内容は、「概論」と「演習」の2つに分かれています。
「概論」は主に実技と講義、「演習」は実務経験(OJT)です。
ちなみにNEALリーダーは、「概論」の受講だけで資格が取れます。
講習日時は会場によって異なり、2泊3日でまとまった期間で開催される場合もあれば、土日を中心とした分割講義で開催される場合もあります。
そのあたりは自身の都合の良いスケジュールで選ぶといいでしょう。
なお、NEALリーダーから上位資格のインストラクターを目指すときには、演習Ⅰの修了が必要です。
詳しいカリキュラムと学習時間については、以下の公式HPをご覧ください。
資格を取るメリット・デメリット
自然体験活動指導者の資格を取るメリット・デメリットについても解説しておきます。
正直なところ、自然体験の指導は資格がなくてもできます。
ただ、一定の自然知識や自然への理解、安全管理技術の習得という点では、実務的な意味で持っているといいでしょう。
【自然体験活動指導者の資格を取るメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・客観的に専門性を認めてもらえる ・一定の自然知識と安全管理技術が身に付く ・権威性が出る ・差別化になる ・野外教育でのステータスになる | ・一般的な就職では役に立たない ・時間を費やす必要がある |
NEALなどの自然体験活動指導者の資格は、資格そのものというよりも、専門性を習得するためのカリキュラム受講に意味がある気がします。
「自然の知識を深めたい」
「子どもにケガをさせたくない」
「自然体験プログラムの作り方がわからない」
という人は、指導力アップを目的に資格を取得するのもありですね。
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自然体験活動指導者の就職先
自然体験活動指導者の資格は、教員を含めて野外で子どもを指導する立場の人であれば、大半が持っている印象です。
ただ、自然体験活動指導者の資格を取っても、それで「就職先が決まる」「稼げる」といったことはほぼないですね。
主な自然体験活動指導者の就職先としては、以下のようなところがあります。
- NPO法人(野外教育関連)
- 自然学校
- 国立青少年教育振興機構(〇〇青少年自然の家/〇〇交流の家)
- 大学/専門学校の教員(野外教育関連)
自然体験活動指導者の資格は、野外教育関連の仕事をするうえでは役立ちますが、一般的な就職ではほとんど役に立ちません。
私も保険営業職に就いたとき履歴書に書きましたが、さほど意味はなかったような気がします。
ただ、野外教育関係の仕事に就職するのであれば、「それなりの自然知識はあるんだね」と思ってもらえます。
資格取得で就職が有利になるとはいえませんが、自身のステータスや専門性の証明にはなるでしょう。
あわせて読みたい >> 好きなことは仕事になる?【超リアル】アウトドア専門学校卒業生の就職先・仕事一覧
まとめ
自然体験活動指導者の資格としては、NEALが一般的です。
野外教育関連の業界では、ほぼ全員が持っている印象ですね。
資格を取ったからといって就職が必ずしも有利になるわけではありませんが、一定の専門性の証明にはなります。
普通の人からすると趣味程度の認識しかないと思われるので、一般企業の就職ではほとんど役に立たないと考えた方がいいでしょう。
個人的には、自然体験活動指導者の資格は資格そのものよりも、勉強で得た知識の方にこそ価値があると思っています。
資格を取って満足するのではなく、そこで得た知識や経験を、その後どう活用していくのかの方がはるかに重要です。
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