アウトドアでは想定外の事態も起こるので、ケガや事故を完全にゼロにはできません。
それでも予防策や対処方法を知っていれば、万が一のときも冷静に対応しやすくなるでしょう。
そこで今回は、キャンプで起こりやすいケガや症状についてご紹介します。
キャンプで楽しい時間を過ごすためにも、子どもから大人までの安全対策に役立ててみてくださいね。
【簡単にわかる】キャンプで起こりやすいケガ・症状と対策

細かい症状を含めると、キャンプで起こるケガや症状は多岐にわたります。
ここではキャンプで起こりやすい、主なケガや症状と処置方法をまとめました。
【キャンプで起こりやすいケガや症状と処置方法】
ケガ・症状名 | 予防策 | 応急処置 |
切り傷やすり傷 | ・長袖と長ズボンの着用 ・正しく道具を使う | 水で傷口を洗う |
やけど | 長袖や軍手の着用 | ・1秒でも早く冷やす ・冷却時間は最低20分 |
食中毒 | ・調理前の手洗いの徹底 ・時間の経った料理を食べない | 病院で治療 |
鼻血 | − | 鼻をつまんで、口で息する |
便秘 | トイレを我慢させない | 食物繊維の多い物を食べる |
熱中症 | ・高温下で活動しない ・風通しのいい服装をする | ・涼しい場所に移動 ・水分補給 ・体を冷やす |
低体温症 | ・濡れを放置しない | ・体を温める ・温かい飲み物を飲む |
一酸化炭素中毒 | ・テント内で燃焼器具を使わない ・換気をする | 新鮮な空気を吸わせる |
以下で、詳しく解説していきますね。
切り傷やすり傷
包丁やナイフで指を傷つけたり、葉っぱなど足を擦ってしまったりというケガは多くあります。
ナイフなどを子どもに使わせるときは、正しい使い方を教えるようにしましょう。
活動中のすり傷は、長袖や長ズボンの着用すると保護しやすくなります。
切り傷やすり傷については、まず清潔な水で泥やゴミを洗い流し、殺菌ガーゼを当てて対処します。
やけど
やけども、キャンプで起こりやすいケガです。
焚き火や野外調理では長袖や軍手を着用することで、やけどのリスクを減らせます。
もし、やけどしたときは、すぐに患部を水で冷やしましょう。
皮膚の奥への熱浸透を防ぐために、最低20分は患部を冷やすのがコツです。
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食中毒
気温の変化が激しいアウトドアでは、食中毒のリスクも高まります。
食中毒の症状は、腹痛や嘔吐、下痢などです。
ひどいときには、子どもがけいれんを起こしたり、意識を失ったりもします。
予防策は、調理前の手洗いは徹底することです。
長時間経った食べ物を口にしない、手や腕に傷を持った人に調理させないなどの対策も必要です。
症状がひどいときには、病院で治療を受けましょう。
鼻血
鼻血もキャンプではよく見られますね。
宿泊のキャンプでは、一人か二人は鼻血を出す子がいるような気がします。
鼻血の対処方法は、鼻の根本をつまんで、口で息するようにすることです。
仰向けにすると、血がのどに流れるので、イスに座らせるようにしましょう。
便秘
キャンプでは環境の変化による精神的なストレスから、便秘になる子どもいます。
キャンプ場のトイレに抵抗があって、無意識で我慢してしまうこともあるでしょう。
対策としては、食物繊維が多く含まれる物を食べさせたり、遊んで体を動かしたりすることです。
「トイレを我慢しないでね」と、保護者が子どもに伝えることも大事ですね。
熱中症
熱中症は、夏のキャンプで特に注意したい症状です。
子どもは地面からの距離が近く、汗をかく機能も未発達なので、熱を体に溜め込みやすい性質を持っています。
熱中症の主な症状は、めまいや頭痛、吐き気、脱力感などです。
重症化すると会話ができなくなったり、意識障害を起こしたりします。
熱中症の予防策としては、高温下での外遊びを控えたり、Tシャツやショートパンツなど風通しの良い格好したりするのが有効です。
睡眠不足も熱中症につながるので、たっぷり眠ることも大切です。
熱中症になったときは、涼しい場所に移動し、スポーツドリンクなどで塩分と水を補給して処置します。
体温を下げるために、首や脇の下など太い血管が通っているところに、氷や保冷剤を当てるのも効果的です。
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低体温症
低体温症とは、長時間体が濡れたり、冷えたりしている状態が続くことで起こる症状です。
川遊びなど水辺の活動はもちろん、雨に濡れた状態で風に吹かれても、体温は低下していくので注意しないといけません。
初期症状では寒さを感じたり、ガタガタと震えたりします。
症状が悪化すると歩くこともできず、錯乱状態に陥るなど命に関わるケースもあります。
キャンプで「低体温症かも」と思ったときは、暖かい飲み物を飲ませて、寝袋などで体を温めるようにしましょう。
カイロや湯たんぽを使用して、首や脇の下、股間(太ももの付け根)を温めるのも効果的です。
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一酸化炭素中毒
テント内でストーブを使うと、一酸化炭素中毒になる危険があります。
一酸化炭素は無味無臭であるため、気が付かないうちに症状が進行するのが怖いところです。
頭痛や吐き気、眠気、判断力の低下などが起きたときは、一酸化炭素中毒を疑いましょう。
とはいえ、テント内で燃焼器具は、基本的に使用するべきではありません。
止むを得ずストーブなどを使う場合には、ベンチレーションで空気を通すなど、換気を忘れないようにしましょう。
キャンプで注意したい植物や生き物

ケガや事故を未然に防ぐために、自然の中にいる生き物や植物にも注意しないといけません。
以下は、キャンプで気をつけたい主な植物や生き物です。
- ウルシ
- 山菜やキノコ
- 毒ヘビ
- ハチ
- ダニ
- クマ
ウルシ

ウルシはキャンプ場でもよく見かける木で、樹液に触れるとかぶれを起こします。
肌の弱い人は近づいただけでも、かぶれる場合があるので注意しましょう。
ウルシの仲間としては、ヤマウルシ、ツタウルシ、ハゼノキ、ヌルデがあります。
秋は美しく紅葉するので、思わず触ってしまわないように気をつけてくださいね。
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山菜やキノコ
山菜やキノコは「絶対に食べられる」という確信が持てないときは、食べないようにしましょう。
図鑑で調べて「たぶんこれかも」と思っても似たような山菜やキノコもあるので、食べるには専門的な知識が必要です。
万が一、毒草や毒キノコを食べてしまったときは、急いで病院に行きましょう。
毒ヘビ
アウトドアで注意したい毒ヘビは、マムシとヤマカガシの2種類です。
北海道から九州の範囲であれば、他は無毒のヘビなので問題ありません(気色悪いかもしれませんが……)。
毒ヘビに対する予防策は、見たら近づかないことです。
特にマムシは湿った場所を好むので、雨が降ったときは、濡れた枯葉や木の近くにひそんでいる場合があります。
噛まれると強い痛みや腫れがあるので、その際はすぐ病院に行きましょう。
傷口を洗い流すなど応急処置よりも、一刻も早く専門家に診せるようにします。
ハチ
ハチの中でもスズメバチは毒性が強く、刺されるとじんましんや呼吸困難、ショック症状などを引き起こす可能性があります。
アナフィラキシーショックになった場合には、エピペンの注射が必要です。
腫れなど軽い症状の場合は、抗ヒスタミン薬を患部に塗って処置します。
ハチは黒い服に反応しやすいので、キャンプでは明るめの服を意識して着用しましょう。
ダニ
ダニは知らないうちに、衣服や皮膚に付いていることがあります。
マダニは環境適応能力が高いので、あらゆるところにいると思った方がいいでしょう。
ダニは無理に引っ張ると頭だけが皮膚に残るので、見つけたときは皮膚科を受診するようにします。
夏など肌の露出が多くなるときは、特に気をつけたいですね。
クマ
キャンプで、クマには出遭いたくないですね……。
予防策としては音を出したり、食べ物を遠ざけたりする方法があります。
キャンプ前には、クマの目撃情報を調べておくことも大切です。
クマは餌を求めてキャンプ場や街中にも下りてくる場合があるので、絶対にいないと言い切れません。
あっ、危ない!子どもとのキャンプでの事故事例

これまで教育キャンプで子どもを見てきた中で、「あっ、危ない」と思う場面がいくつかありました。
実際に私が見た危ないシーンや事故としては、以下のようなものがあります。
野外炊事場で走って転び、足を痛める
市役所職員の頃、小学生向けの自然体験活動の進行をしていたときの出来事です。
野外炊事場で走って転んで、足を痛めた子がいました。
たしか打撲か骨折だったと思いますが、加入していた保険を適用した記憶があります。
夏の外遊びで体調が悪くなる
正確にはキャンプではありませんが、屋外のダム見学で、小学生の女の子が熱中症のような症状になりました。
そのときは看護担当が衣服のボタンを外したり、脇の下などを冷やしたりして対処していました。
体を動かして遊んでいると体温も上がるので、暑い日は熱中症に気をつけないといけませんね。
素手で火の番をする
焚き火や野外調理で、気がついたら子どもが軍手を外しているケースです。
素手で火ばさみを使ったり、火の番をしていたりすることがあるので、子どもの手元は見るようにしていますね。
あとは火のそばで、走り出すこともあります。
やけどの可能性があるので、火を扱うときは必ず大人が近くで見守らないとダメですね。
野外調理で包丁を持ったまま歩く、振り返る
教育キャンプでは子どもに包丁を使わせますが、ときどきヒヤッとする場面も見られます。
友達と話そうとして包丁を持ったまま振り返ったり、刃物を持って走ったりとかですね。
アウトドアの小さなヒヤリは、後々大きな事故につながる可能性があるので、怖いところです。
緊急時に備えて、救急セットは用意しておこう

おそらくキャンパーであれば、ほとんどの人が救急セットを用意していると思います。
やけどやすり傷などのケガ、熱中症になっても、対処する道具がないとどうすることもできません。
救急セットとしては、以下のものを最低限用意しておくといいでしょう。
【最低限ほしい、救急セットの中身】
- 絆創膏
- 清潔な水
- 毛抜き
- 虫刺され薬(かゆみ止め)
- スポーツドリンク
- オロナインなど化膿止め
- 滅菌ガーゼ
- 伸縮包帯
- ポイズンリムーバー
薬類はキャンプに行く前に、使用期限を確認するようにします。
時々しか使わないと、あっという間に期限が切れていることがありますからね。
もしものときに備えて、アウトドアで救急セットは常に用意しておきたいアイテムです。
まとめ
キャンプを楽しむためには、安全管理もしっかりしないといけません。
大きなケガや事故があると、思ったよりもテンパってしまうので、冷静でいられないこともあります。
「どうしたらいいの!?」と、ケガの処置方法がわからないときはなおさらです。
話が聞ける年齢の子どもであれば、キャンプの注意事項を説明して、活動するときは必ず近くで大人が見守るようにしましょう。
万が一に備えて、救急セットも用意しておく必要があります。
ケガや症状によっては、急いで病院に行った方がいい場合もあるので、キャンプ前に近隣の医療機関も調べておくといいですよ。