アウトドア専門学校の学生時代、年に数回、4泊5日の登山実習がありました。
その実習は、一人一人が寝袋や食料など必要な装備が入った80L以上のザックを背負い、山を歩き、テント泊するという集団生活です。
実習が終わって、水が自由に使えることに幸せを感じた
私は毎回、実習が終わって学生寮に帰ってきたときは「あー、幸せだな」と感じました。
その理由は、水が自由に使えたからです。
ほかにも好きなものが食べられて、スイッチ一つで電気がついて、ゆっくり布団で寝れることも幸せでした。
でも帰って来て、一番最初に「幸せだな」と思うことは、やっぱり水でした。
登山実習での生活はどんな感じ?
トイレは野外
実習中は、山に登って毎日10km以上歩いて、夜はテントに泊まる生活です。
山小屋やキャンプ場に泊まるわけじゃないので、いつでも簡単に水が手に入る環境ではありません。トイレも野外でするのがほとんどです。
当然、お風呂も入れないので、テント内で体を拭くだけでした。
「では、水はどうしていたのか?」というと、水場と呼ばれる場所で補充していました。
水場とは「飲み水のある場所」という意味で、たとえば、湧き水や川、山小屋など一部水道がある場所を指します。
そこで、できるだけ多く水を補充していましたね。
満足に水が飲めないことも…
水場が川のときなど、場所によっては一度煮沸しないと水を確保できないことがあります。
文字通り、水は生命線でしたから、みんな水を確保するのに必死でした。
担当として、水を作る係もいたくらいです。
状況によっては「水が無い」ということもあり、水を作ることも出来ない環境のときは、仲間から分けてもらいましたね。
そんな満足に水が使えないこともあるので、登山の準備では1人3Lくらい水をザックに入れて持っていきます。
夕食の調理も、飲み水が豊富な場所ならいいですが、そうでないときは自分たちが持っている水を使って食事を作るので、水は大切です。
家の快適さとありがたみ
普段の生活では、蛇口ひねれば水が「ジャー」っと出るから、水のありがたみなんて気にしないんですね。
でも、登山実習から帰ってくると「こんなに思う存分、水が使える」ということに、すごくありがたみを感じるわけです。
「普段、こんなに快適な生活をしていたんだ」と。
こういう気持ちは、一度日常から離れたからこそ分かるんですよね。
一人暮らしを経験して初めて、実家の快適さが分かるのに似ています。
体験の力は、つくづくすごいなと感じます。
家で好きなだけ水が飲める幸せ
登山中は、簡単に水が手に入りません。
水はとても貴重なものであり、飲むときは大事に飲みました。
日本では水道をひねればすぐに水が飲めるので、普段の生活で水を「ありがたい」と思うことは少ないかもしれません。
でも私は実習が終わり、家に帰ってきて水をカブ飲みできたときは、幸せを感じていました。
人間当たり前すぎると、つい感謝の気持ちを忘れてしまいますが、登山をすると改めて水のありがたみに気づけます。