学校や子ども会でレクリエーションゲームをやっても、「なんかイマイチ盛り上がらない…」といった経験をしたことはありませんか?
確かにレクリエーションゲームは、ゲーム自体が力を持っているので、やれば自然と盛り上がることはよくあります。
しかし、ゲーム進行役のスキルや人間力によって、グループの盛り上がりが左右されるのもまた事実です。
そこで今回は、レクリエーションゲームが盛り上がらない5つのワケについてご紹介します。
私は以前、国立妙高青少年自然の家でPA(プロジェクトアドベンチャー)系ファシリテーターをしていたとき、そこで成功も失敗もたくさん経験しました。
「どうしたらもっとゲーム進行が上手くなるのか?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
レクリエーションゲームが盛り上がらないことはよくある
レクリエーションゲームが盛り上がらないことはよくあります。
私も小中学生の前でレクリエーションゲームをやったとき、想定していた状況と全然違う状況になり、「こんなはずでは…」と思った経験を何度もしました。
ゲームの参加者が違えば、当然雰囲気も変わりますし、一回やったゲームが二度目はウケないことも珍しくありません。
逆にこの前はウケなかったのに、今回はおもしろそうにやっていたというケースもあるでしょう。
初心者のうちはゲーム進行に不慣れなこともあり、失敗することも多くあります。
しかし、ベテランになったからといって、必ずしもすべてのゲームが盛り上がるわけではありません。
人それぞれ趣味や笑いのツボが違うように、展開するゲームによって盛り上がる・盛り上がらないがあるのは当たり前なのです。
あなたのゲームが盛り上がらない5つのワケ
それではなぜ、あなたが行うレクリエーションゲームは盛り上がらないのでしょうか?
ここでは私の経験も交えて、レクリエーションゲームが盛り上がらない原因を解説します。
(1) 参加者とゲームの難易度が合っていない
レクリエーションゲームが盛り上がらない原因として、参加者とゲームのレベルが合っていないということがあります。
選ぶゲームは、参加者の年齢や体力、知識、経験などに合わせることが大切です。
たとえば、小学6年生の子に算数のテストをやらせるとして、掛け算の2の段や4の段では簡単すぎますよね?
しかし、この対象が小学2年生であれば、ちょうどいいかもしれません。
ゲームが盛り上がらないときは、ゲーム内容やルールが「簡単すぎる」「難しすぎる」ことがないか確認してみましょう。
同じゲームでもルールを工夫して難易度を調節すれば、上手くいくことがあります。
(2) 空気を読みすぎ
ゲーム進行役が、参加者やグループの空気を読みすぎて失敗しているケースです。
レクリエーションゲームにおいて、子どもたちの状況や雰囲気を感じ、現場の空気をつかむことは大切です。
しかし、ゲーム進行役が空気を読みすぎると、参加者の空気感に飲まれていきます。
特にゲームスタート時は、子どもたちも「何をやるの?」という不安や心配からテンションが低いことが多々あります。
もし参加者である子どもたちと初めて会うのであれば、「この人(先生や指導者)はどんな人なのか」という人間性もチェックされているでしょう。
レクリエーションゲームを進行する際は、自分の中で「こんな楽しい雰囲気にしたい!」と具体的なイメージを持って、そのビジョンを目指すことが大事です。
たとえ今子どもたちのテンションが低くくても、「このゲームをやることで、必ず自分がイメージする状態に持っていける」という気持ちでいましょう。
少なくとも私が指導者としてフィールドに立つときは、そうしていました。
グループや子どもが発する空気に合わせるのではなく、常に一歩か二歩先のワクワク感を持って、先行して楽しい気分を味わっていくイメージです。
(3) ゲームをやる順番が間違っている
複数のレクリエーションゲームをやる場合、ゲームの順番が盛り上がりを左右します。
一般的にスタート時は、「誰もが楽しめて、動きの少ないゲーム」を持ってくるようにします。
いわゆる、じゃんけんなどのアイスブレイク系です。
まずは軽めのゲームで参加者の心身をほぐし、他の参加者との交流も少しはさんだあとで、やや難しいゲームや身体接触系のゲームを行う流れですね。
(ただ小学校低学年などの場合は、はじめに思い切り走らせるなどして、ストレスを解消させることもありますが)
特に体が触れ合う身体接触系のゲームをやる際は、タイミングに注意が必要です。
思春期である小中学生の場合、ゲームスタート時からいきなり「隣の人と手を握りましょう」「男女混ざって」と言われると、ものすごい抵抗を感じることがあります。
同じように、普段一人でいることが多い子や集団行動が苦手な子にとって、「ペアになって」の一言は恐怖でしかありません。
そのためスタート時は極力プレッシャーを感じない、一人でもできるゲームや大まかなグループ分けで成立するゲームを中心に始めた方がいいでしょう。
グループで協力が必要な「課題解決」といったゲームも、後半に持ってきた方が対人関係のストレスも少なく、成功率が高まります。
ゲーム進行役は、ゲームのおもしろさに頼るだけでなく、参加者同士の交流の様子や心理面にも気を配ってあげるといいですね。
(4) 自分が楽しめていない
レクリエーションゲームを進行するとき、自分も心から楽しめていますか?
子どもは感覚が鋭いので、大人が表面上だけ楽しそうにしていても、すぐに見破ります。
私は市役所職員になって間もない頃、小学生対象のキャンプ事業で進行役をしていたのですが、「この先生が一番元気ない」と子どもから言われたことがあります。
自分では元気にやったつもりでも覇気がないからか、周りにはわかってしまうんですね。
「この先生やらされてるな」「笑顔がウソくさい」と感じると、子どもはゲームに魅力を感じてくれません。
たとえば、家電を買うときに仕事と割り切ってやっている店員さんと、家電愛が伝わってくる店員さんとでは、どちらか家電を買いたいと思うでしょうか?
おそらく、後者を選ぶ人が多いと思います。
それと同じことが、レクリエーションゲームでも起きています。
おそらく自分も参加者としてそのゲームをやったことがあるなら、そのゲームが持つおもしろさや楽しさも十分わかっているでしょう。
「自分が一番このゲームを楽しむんだ」「楽しんでいる」その感覚があるとないとでは、子どもたちの雰囲気が全然違います。
(5) 一度ゲームを始めたら「最後までやり切らないといけない」と思っている
ゲームの進行をしていると「参加者が乗り気じゃない」「真剣にやろうとしていない」と感じる場合があります。
そんなとき「なんとか頑張って最後までゲームをやろう」と思っていないでしょうか?
しかし、いくら進行役が頑張ってゲームを進めても、参加者にやる気がなければ、そのゲームが盛り上がることはありません。
「参加者がゲームを楽しんでない」そう感じたら、思い切ってゲームを止めてしまいましょう。
誰も望んでいないゲームなのですから、途中で止めたって誰も困りません。
人によっては、ゲームを中断することに抵抗を感じるかもしれませんが、「途中でゲームを止める」という行為は、子どもにとっても予想外の状況です。
いつも学校や家庭で「最後までやるのがルール」と教え込まれている子どもであればあるほど、大人の想定外の行動にびっくりするでしょう。
しかし、だからこそ効果があるのです。
子どもたちは、普段の学校生活で起こらない状況に直面すると「何か大変なことが起きている」と感じ、自身の感情やグループの不真面目さに気がつくことがあります
その際、ゲームの進行役が怒っているかどうかは関係ありません。
勇気を持ってゲームを中断する行為には、次からのゲームを盛り上げる可能性が秘められています。
やれるだけの準備をしたら、あとは肩の力を抜いて、流れに身を任せよう
レクリエーションゲームを行うためのできるだけの準備をしたら、あとは肩の力を抜いて、当日の流れに身を任せましょう。
前日までの準備としては、ルール説明の練習や予備のゲームの用意などがありますが、結局のところ本番はどうなるかわかりません。
ゲームが盛り上がるかどうかは進行役のスキルだけでなく、参加者のやる気やグループの状況が大きく影響します。
レクリエーションゲームが盛り上がるかどうかは「やってみないとわからない」部分が大きいので、あとは当日の流れに身を任せるくらいで大丈夫です。
最初から「何か不測の事態が起こるかも」と思って準備していれば、予想外の状況にもあわてずに済みます。
それにレクリエーションゲームは、進行役が一方的に参加者を楽しませる活動ではありません。
進行役がゲームのきっかけをつくり、参加者自らがゲームに積極的にかかわることで、一緒に楽しい時間を創っていく活動です。
ゲームの準備をしっかりしたのであれば、あとは当日の流れに身を任せて、参加者と一緒に成功も失敗も楽しみましょう!
まとめ
どんなベテランのゲーム進行役でも、失敗するときはしますし、盛り上がらないとき盛り上がりません。
でも、私はレクリエーションゲームのおもしろさは、この盛り上がるかどうかわからない「不確定さ」にあると思っています。
ゲーム進行役の説明の仕方やルール設定、ゲームをやる順番などによって、ゲームはおもしろくも、つまらなくもなります。
単純にスキルだけでなく、進行役の人柄やコミュニケーション力など人間性の部分も、ゲームの盛り上がりを左右するでしょう。
これほど進行役に影響力があって、やりがいのある活動は、他にないのではと思うくらいです。
レクリエーションゲームが盛り上がるかどうかは、参加者による部分も大きいので、あまり「進行役だから」と力みすぎず、「盛り上がらなかったらしょうがない」くらいの気持ちでゲームを進めてみるといいですね。
どんな結果でも次に生かそうと試行錯誤していけば、だんだんとスキルアップしていきます。