昨今は数年前までは考えられないほど、アウトドア人口が増加しています。
「自然が好き」
「キャンプや山登りがしてみたい」
「生きている感じがする」
動機は何でもいいと思いますが、自然に興味を持ってくれる人が増えるのは嬉しいことだと思います。
ただ、心配なのは自然に対するモラルです。
キャンプ場によっては、利用者のマナーの悪さから「キャンプ利用禁止」の場所も出てきました。
ハイキングや登山も利用者増加による、自然へのダメージが気になります。
今回はそんなお話です。
アウトドアブームの弊害
コロナの影響から人々の行動に制限がかかったこと手伝って、近年はアウトドアブームと呼ばれる時代になりました。
ただ、それによる弊害も確実に起こっています。
キャンプ場でいえば、以下のようなことですね。
- 直火禁止
- キャンプの永久禁止
- 水供給の制限
場所によっては、木へのダメージを減らすため、自立式以外のハンモックを禁止としているキャンプ場もありますね。
キャンプ場のルールが厳しくなる多くの理由は、自然環境への負荷を軽減する目的からだと思いますが、その背景には利用者のマナーの悪さがあります。
そうはいっても大半の人は、きちんとルールを守ってアウトドアを楽しんでいると思います。
焚き火の際は地面に耐熱シートを敷き、洗い物ではなるべく節水を心掛けるなどです。
5年、10年とアウトドアをやっている人にとっては当たり前かもしれませんが、アウトドア初心者が増加したことで、この均衡が崩れてきました。
もちろん、誰しも最初は初心者なので知らないことはありますし、中には「やってしまった……」という事態もあるでしょう。
でも、そんなことは次から気をつければいいのです。
ただ、問題なのはマナーを守る気などなく、「自分たちが楽しければいい」と考える人がいるのではないか、ということです。
「自分たちが今楽しければ、それでいい」
アウトドアブームに便乗して、そういう人も少なからず出てきているのではないか危惧しています。
僕らの“遊び場”が失われていく
アウトドア人口が増えたことで、昔からのアウトドア愛好家の中には頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。
私も「自然が好き」「アウトドアが好き」という人が増えることは、嬉しいことだと思います。
しかし、それによってキャンプ場や山のルールが厳しくなり、また一つ遊び場が失われていくような気もしています。
ここで難しいのは、それがマナーを遵守していても起こり得るということです。
たとえば、登山。
仮に登山者全員がルールを守って、登山道を歩いていたとします。
特別保護地域では、動植物の採取もしません。
ですが、それでも利用者が100人から1000人に増えたとすればどうでしょうか?
増加した人数分だけ、土や岩、草木などはダメージを受けやすくなります。
特に湿原などのデリケートな環境では、より自然景観への影響が心配ですね。
キャンプ場も同じです。
利用者が増え、自然や環境への負荷が高くなればなるほど、「これはダメ」といったルールがどうしても厳しくなっていきます。
静かな場所も少なくなっていくし、今までルール守って自然の中で遊んできた人からすると、たまったものじゃないですよね。
自然の中に人も増えて、活動ルールも厳しくなり、「だんだん遊びづらくなってきた」そう感じることが増えている気がします。
自然環境の変化は、日常生活にも影響
私はアウトドアでのマナー良し悪しは、その場だけの問題ではなく、日常生活にも影響を与えると思っています。
都市部の方だとあまり意識しないかもしれませんが、私たちの生活は自然の恵みによって成り立っているからです。
たとえば、キャンプ場で排水すれば、海や川に棲む生き物に影響を与えます。
むやみに草木を傷つけ続ければ、生き物の環境が変化し、育つはずの野菜や果物が育たなくなる可能性もあるでしょう。
今はアウトドア人口が増加しているので、もしも利用者全てが「ほんの少し」と思って自然を汚せば、その影響は計り知れません。
そうなると野菜や果物の出荷量が減ったり、普通の魚の値段が高くなったりする可能性があるので、スーパーに行ったとき「あれ、ない!?」となるかもしれないですね。
自然遊びをするときに、「今が良ければそれでいい」という気持ちでいると、将来的に自分たちの首を締めることになってしまいます。
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まとめ
アウトドア人口が増加したことで、マナーの悪さを中心とする弊害も目立つようになりました。
ほとんどの人はきちんとルールを守っていると思いますが、やはり自然環境への負荷は心配ですね。
キャンプや登山、ハイキングなどの自然遊びはディズニーランドとは違うので、「自分が周囲に与える影響」も考えて遊ばないといけません。
マナーというよりも、一人一人の些細な行動が自然に影響を与えているということを考えないといけない時代になったと思います。