登山では「防寒が大事」とわかってはいても、どんなウェアを選んだらいいのかと悩んでいませんか?
通学や買い物での防寒着であれば、正直何でも構いませんが、山ではそうはいきません。
でも、登山やトレッキングでの防寒着選びは、多少知識が必要になるので、「どれを選んだらいいかわからない……」という人も多いでしょう。
そこで今回は、子ども登山におすすめの防寒着についてご紹介します。
秋冬などの寒い季節はもちろん、夏でも高山に登るような本格登山をする際には防寒着が必要です。
子ども登山の引率経験もある自然体験教育者が、わかりやすく解説しますよ!
【防寒着の選び方】保温性と防風性のどっちが必要?
山では、化学繊維素材のウェアを着て、重ね着によって防寒対策をするのが基本です。
一言で「防寒着」といっても、その種類は幅広くあります。
なぜなら「防寒」とは、気温による寒さ対策を指すこともあれば、風の冷たさによる対策の2つの意味があるからです。
一般的な防寒着としては、以下のようなものがあります。
- ジャケット(ハードシェル、ソフトシェル)
- フリース
- スウェット
- シャツ
- ダウン
- ウィンドブレーカー
これだけ種類があると、どれを選んだらいいかわからなくなりますね……。
そこでまず、おすすめの防寒着をご紹介する前に、服装(ウェア)の全体像をご説明します。
全体像を理解しておくと、必要な防寒着を選びやすくなるので、まずは以下の表をご覧ください。
【登山ウェアの用語と主な役割】
専門用語 | 名称 | 主な役割 | |
– | インナー | 下着・肌着 | 汗や湿気を吸って、外に逃す |
防寒着 | ミッドレイヤー | 中間着 | 保温 |
防寒着 | アウター | 上着 | 防風(風の侵入を防ぐ) |
上記のように登山で「防寒着」と呼ばれるのは、ミッドレイヤーとアウターの2つです。
ミッドレイヤーは保温性がある服で、天候や子どもの体温状況によっては、アウターとしても着られます。例としては、フリースやスウェットなどですね。
一方のアウターは、防風性のある服です。
代表的なのはウィンドブレーカーでしょうか。
ただし、雨や風の侵入を防ぐことが主な役割なので、ミッドレイヤーと比べて保温性は低くなります。
防寒着を買うときは、保温性が必要なのか、防風性が必要なのか、どっちも必要なのかを考えておくと、子どもの身体的安全も守りやすくなりますし、買い物で失敗する可能性も減るでしょう。
子ども登山におすすめの防寒着を紹介
ここでは、アウター(上着)とミッドレイヤー(中間着)に分けて、防寒着をご紹介します。
繰り返しですが、登山では重ね着で体温調節をします。
気温が低いから保温性を高めたいのか、風が冷たいからウェアがほしいのかでは、選ぶウェアが違ってくるでしょう。
登山では「これ一枚で大丈夫」ということはなく、状況に応じて脱ぎ着をして、服装を切り替える必要があります。
ご紹介する防寒着と持っている服を組み合わせて、コーディネートしてみるといいですよ。
風の侵入を防ぐ【アウター(上着)】
ウィンドブレーカーなどのアウターは、防風性に優れています。
保温性はあまりないので、暖が取れるフリースやスウェットと組み合わせて使いましょう。
コロンビア|ウィルスアイルユースジャケット
コロンビアの独自開発テクノロジー「オムニシールド」搭載のジャケットです。
撥水性のある生地は、小雨や砂ぼこり、汚れを弾きます。
速乾性も高く、濡れによる冷えを抑えられるでしょう。
軽くて持ち運びしやすい、ウィンドブレーカーです。
コロンビア|パイクレイクジャケット
体の熱を利用して暖かさを保つ、中わた入りジャケットです。
中わたはポリエステル素材なので、濡れても保温力をキープします。
フロントジッパーがやや高めまで上がることで、首周りに侵入する冷気をシャットアウト。
携帯するというよりは、常に着用している登山に向いています。
ポップなカラーと細身のシルエットは、街中でもおしゃれに着こなせますね。
ザ・ノースフェイス|コンパクトジャケット(キッズ)
軽量で丈夫なウィンドブレーカー。
多彩なカラーバリエーションがあるため、デザインを選ぶ楽しみがあり、性別に関係なく着用できるでしょう。
フードは取り外し可能です。
撥水加工が施されたジャケットは、子どもの動きに合わせてストレッチします。
ザ・ノースフェイス|ドットショットジャケット(キッズ)
登山からキャンプにまで活躍する、軽量防水ジャケット。
ザ・ノースフェイス独自の防水透湿素材「ハイベント-D」が、雨を防ぎ、汗ムレを解消して、ドライな着心地を持続させます。
柔らかい質感で、体の動きを妨げないパターンを採用しているので、子どもも自由に動きやすいはず。
クリフメイヤー|のび~るシャカJK KIDS
夏の肌寒いときに持っていると便利な、薄手のアウターです。
サッと羽織れるので、ハイキングなどの防寒着として活躍しそうですね。
本格登山の場合は、機能性として少し不安かもしれません。
素材にはストレッチ性があり、腕も曲げやすくなっていて、子ども元気に走れるでしょう。
普段使いもしやすい、トレンド感のあるジャケットです。
クリフメイヤー|UVカット シャカJK KIDS
春秋のアウターとして使えそうな、UVカット機能付きウィンドブレーカー。
左右で色が違うファスナーや、太陽光に反応してラビット模様が浮かび上がってくるブランドタグなど、さりげないアクセントが嬉しいですね。
薄手のジャケットは、ザックにも収納しやすそうです。
保温性を高める【ミッドレイヤー(中間着)】
ミッドレイヤーは保温性が高く、体に熱を保つ役割を果たします。
ウェアによっては多少防風性もありますが、基本的に風の寒さ対策については、別途アウターが必要と考えるといいでしょう。
コロンビア|スティーンズマウンテンII フリース
柔らかい肌触りと暖かさがある、フリースジャケットです。
汗が乾きやすく、通気性もあるので、たくさん歩く登山でも快適な状態をキープできるでしょう。
すっきりとしたシルエットで、中間着にもアウターにも使える一着です。
コロンビア|ジング III フリース
軽量で暖かいフリースは、キャンプや普段着にもぴったり。
大きめのチェックやカモフラ柄など、子どもらしい元気さのあるデザインです。
ポケットはファスナー式で、行動中の落とし物を防いでくれます。
ザ・ノースフェイス|マウンテントラックジャケット(キッズ)
優れたストレッチ性で、評判のジャケット。
吸汗速乾性を備えているため、汗抜けも良く、登山やトレッキングで快適に動けるでしょう。
細身のシルエットで、ウエスト周りがもたつかないつくりです。
これにアウターやレインウェアなど防風性のあるウェアを重ね着すれば、いい防寒対策になりそうですね。
パタゴニア|キッズ・レトロX・ジャケット
名前のとおり、レトロな雰囲気のフリースジャケット。
キッズ用なんですが、サイズによっては大人も着られるので、親子でお揃いにするなど女性からも人気がありますね。
防風効果のある裏地付きで、風を通しにくいので山でも使いやすいはず。
コロンビア|アーチャーリッジリバーシブルフルジップ
リバーシブル仕様のボアフリースは、風を通さない布帛(ふはく)を使用して保温性を高めた一着。
ボアを表面にすれば、見た目にも暖かく、優しい印象がつくれます。
アウターの内側に着込んでも良し、一枚で着ても良しな2WAYモデル。
ザ・ノースフェイス|ロングスリーブマイクロフリースクルー(キッズ)
しなやかな着心地で、秋冬のアウトドアにぴったりなフリース。
スウェットのような雰囲気なので、ずっと着ているシーンに向いています。
ザックで擦れやすい肩部分が補強されているのも、嬉しいポイント。
イージーケアなので、家での洗濯も簡単にできますよ。
7BRIDGE|ボアジャケット
素材に化学繊維を使ったボアジャケットは、お手頃価格が魅力。
カジュアルな印象で、ちょっとしたアウトドアからデイリーユースにまで使えます。
トレンド要素もある、小学生向きの一着です。
OUTDOOR|フリースジャケット ジュニア
もこもこフリースは、保温性の高さが特徴。
柔らかい肌触りで使いやすいので、ヘビロテしたくなるかもしれませんね。
袖口は、ほつれにくいように加工されています。
フロントファスナーがあるタイプは、山での脱ぎ着がしやすいですよ。
レインウェアを防寒着に使うのもおすすめ
アウトドア用のレインウェアを携帯するのであれば、レインウェアを防寒着として使うのもおすすめです。
アウトドア用のレインウェアには、防風性と透湿性が備わっています。
風の侵入を防いでくれて、ウェア内の熱を外に逃しやすい構造になっているので、アウターとしての役割を果たしてくれます。
私も登山ではできるだけ荷物を軽量化したいので、レインウェアを防寒着として使うことがあります。
ただし、レインウェアに保温性はないので、気温が低く「寒い」と感じるときは、中にフリースなどの着用が必要です。
登山用のレインウェアがあれば、ウィンドブレーカー代わりになりますよ。
あわせて読みたい >> 登山やハイキングに必須!子ども用レインウェアのおすすめと選び方
防寒着を選ぶときの注意点3つ
街中での防寒着は「あたたかければOK」という面もありますが、登山ではそうもいきません。
防寒着を選ぶときの注意点にとしては、以下の3つがあります。
(1) 厚手のウェア1枚で済ませない
防寒着は、厚手のジャケット一枚などで済ませないようにしましょう。
子どもの体は大人よりも体温が上がりやすく、下がりやすいのが特徴です。
厚手のジャケット一枚の場合、着れば暑いし、脱げば寒いので温度調節が難しくなります。
少し面倒かもしれませんが、登山では重ね着を意識して、数枚のウェアで防寒対策するようにしましょう。
(2) 実はインナーが重要
ついつい防寒といえば、フリースやジャケットなどに意識が向きがちですが、実は重要なのは、インナー(下着)だったりします。
インナーの役割は「汗や湿気を吸って、外に逃す」ことです。
この機能が不十分だと、汗濡れによって体が冷えていきます。
いくら保温性の高いミッドレイヤーや風を通さないアウターを着ても、内側から体が冷えてきたら寒いですよね?
そのため、Tシャツなどのインナーには、汗や湿気を吸って乾きやすい素材(吸水または吸湿速乾性)か、ウール素材を選ぶようにしましょう。
(3) ダウンは行動中に不向き
ダウンジャケットは、軽量コンパクトで保温性の高い素材ですが、登山での行動中には不向きです。
なぜなら、汗や水濡れに弱いから。
ダウンは水に濡れると保温力が落ちるので、着用は山小屋やテント内でと考えましょう。
ただし、ダウンと見た目が似ている化繊綿ジャケットなら、汗濡れしても保温性をキープできるので、行動中にも使えますよ。
その他、知っておきたい防寒着選びのコツ
ここでは、防寒着を選ぶときに、プラスアルファ知っておくと役立つ豆知識についてご紹介します。
持っている服を活用する
アウトドアウェアは高価なので、「そんなにたくさんは買えない」「一度きりの登山で、もったいない」と思う人もいますよね?
おすすめは、自宅にある服を積極的に活用することです。
ジャージやスポーツウェアなど、登山で使えそうなものがないか探してみましょう。
今後も登山をするかわからないのであれば、買うのは、機能性の面でどうしても足りないウェアだけで十分です。
携帯性と動きやすさも考える
登山では何回もウェアを脱ぎ着するので、防寒着はコンパクトな方がリュックに収納しやすくなります。
また、防寒着を着たときの動きやすさも、事前に確認しておくといいでしょう。
ジャストサイズ過ぎると動きにくいため、「こんなの着てられない!」と子どもが登山中にストレスを抱えてしまう可能性があります。
帽子や手袋もおすすめ
季節や登る山によっては防寒着と合わせて、帽子や手袋も着用しましょう。
特に標高の高い山は、春秋でも冬並みに寒いことがあるので、手や耳の防寒対策は欠かせません。
ニット帽などのほか、ネックウォーマーなどを使っても保温力を高められます。
まとめ
登山の防寒着には、ミッドレイヤーとアウターの2種類があります。
ミッドレイヤー(中間着)は保温性が高く、代表的なのはフリースです。
アウター(上着)は、風をシャットアウトするのが主な役割で、代表的なのはウィンドブレーカーやレインウェアです。
防寒対策としては、「保温」と「風対策」の両方が求められるので、自宅にある服も上手に活用してコーディネートするといいでしょう。
荷物を軽くするなら、レインウェアを風対策に使うのもおすすめです。
子どもが安全かつ楽しく登山できるように、防寒着は、気温の低さや風の冷たさなど、厳しいコンディションを想定して準備しておくといいですよ。