「レインウェアの色って派手だよね」と、思ったことはないですか?
でも、それには意味があるんです。
ただおしゃれ目的で、明るい色をしているわけではありません。
そこで今回は、レインウェアの色が派手な理由について野外教育指導者の筆者がご紹介します。
特に普段、黒やネイビーなど落ち着いた色ばかり選んでしまう人は、知っておくといいでしょう。
レインウェアの色が派手なのは、「見つけやすくするため」
アウトドアブランドにもよりますが、レインウェアは大抵明るく、目立つ色でつくられています。
その理由は、山の中で見つけやすくするためです。
登山では、遭難や道迷いといった事故が毎年多く起こります。
その際には警察やレスキュー隊が出動するわけですが、薄暗い中で暗いウェアを着ていると発見しにくくなります。
近くから見れば「あ、人がいる」とわかっても、遠くから見たときには、森や岩場にウェアの色が同化して見えないこともあるでしょう。
そのため、レインウェアは遭難や道迷いの対策観点からも、山中でも見つけやすいように、明るい色でできているのです。
ただおしゃれ目的で、明るくポップな色にしているわけではないんですね。
山の中で目立つ色とは?
天候や時間帯、距離にもよりますが、山の中で目立ちやすいのは、以下のような色です。
【山で目立ちやすい色】
- 赤
- 黄色
- 青
- 明るい緑
赤はもう山でもダントツですね。
近くからでも遠くからでも、「あっ、あそこにいる」とわかります。
黄色も視認性が高く、目立ちやすい色ですね。
青と緑に関しては、森の中で埋もれやすい印象がありますが、意外と目立ちます。
青系のレインウェアは数多くありますし、私も好きな色なので目立つとなると、これはありがたい。
緑は、色の濃さにも影響する色で、明るいグリーンなら目立ちやすいという印象です。
ちなみに私のレインウェアは今、緑色です。
目立ちにくい色は、やっぱり黒系
一方、山で目立ちにくいのは、やっぱり黒系です。
- 黒
- グレー
- ベージュ
黒はわかりますが、グレーやベージュも自然の中で同化しやすいので、注意が必要ですね。
モノトーン系の落ち着いた色は使いやすいので、ついつい選びたくなりますが、「周りからは見つけにくい」という点は理解しておきましょう。
シックな色好きの男性は、特に注意
私もそうですが、特に男性は、黒やネイビーなど落ち着いた色が好きですよね?
レインウェアは明るいものが多いので、「ちょっとおれには明るすぎるなー」と思うこともあるでしょう。
でも、それでいいんです。
山では遭難や道迷いの対策として、「見つけやすさ」も大切です。
黒やベージュなどはカジュアルな服装で人気のある色ですが、自然の中だと埋もれてしまいます。
それに山ではほとんどの人が、明るいウェアを着ています。
男性が山で赤やグリーンの明るい色を着ていても、街中と比べてずっと目立ちにくいのでそれほど注目されません。
私はアウトドア専門学校でガイド練習をしていたとき、先生からの振り返りで「服装が地味だなー」と言われたことがあります。
私も周りの友人も「えっ、そこ!?」と思いましたが、服装の色も大事なんですよね。
ガイドは参加者を連れて歩くので、参加者からも見つけてもらいやすくしておく必要があるからです。
普段、シックな色を選びがちの人は、万が一、救助をお願いする事態になったときのことも考えて、山でくらい明るい色を選んでおくといいですよ。
ザックカバーで目立つのもあり
レインウェアだけでなく、ザックカバーの色で目立つという方法もあります。
リュックを明るい色にするのも有効ですが、雨の日はザックカバーをするので、隠れてしまいますよね?
「明るいレインウェアは苦手……」という人は、せめてザックカバーだけでも目立つ色にしておきましょう。
帽子やスパッツは面積が小さいので、遠くからだと色の確認が難しくなります。
レインウェアと一緒にザックカバーも明るい色にしておくと、遭難時やメンバーとはぐれたときも見つけてもらいやすくなるでしょう。
まとめ
レインウェアの色が派手なのは、山で目立ちやすくするためです。
岩場や森の中で目立つことができないと、万が一、メンバーとはぐれたり、遭難したりしたときに、救助者から見つけてもらえません。
そういう意味では、レインウェアの色も機能性の一部といえるでしょう。
レインウェアを選ぶときは好みの色を大事にしながらも、頭の片隅で「目立つようにしよう」と思っておくと、登山での安全性も高まるはずです。