登山で必要な道具は数多くありますが、その中でもレインウェアは重要なアイテムです。
でも、初めて登山する人であれば、こんなことにずっと悩んでいないでしょうか?
- どんなレインウェアを選んだらいいかわからない
- ゴアテックスって何?ポンチョじゃだめ?
- おすすめのレインウェアが知りたい
そこで今回は、登山レインウェアの選び方についてご紹介します。
私はアウトドア歴6年以上で、キャンプディレクターや自然ガイドの資格も持っています。今でもWebライター兼自然体験教育者として活動中です。
初心者によくある疑問もわかりやすく解決していくので、ぜひ気軽に読んでみてくださいね!
【簡単にわかる】登山レインウェアの選び方
初心者であれば、レインウェアに「どんな機能性が必要?」と思うことでしょう。
登山用のレインウェアは、通学や通勤で使うようなレインコートとはまた違った機能性が求められます。
登山に必要なレインウェアの機能性には、以下のようなものがあります。
- 防水
- 透湿
- 軽量
- 強度(耐久性)
- 着心地
なんか難しそうと思うかもしれませんが、大丈夫です。
以下で具体的に、わかりやすく選び方の基準を解説していきますね。
(1) 上下セパレートを選ぶ
登山やトレッキング、ハイキング用のレインウェアは、上下に分かれるタイプを選びましょう。
上着だけだと足元がびしょ濡れになるので、山には向いていません。
山での「濡れ」は体温低下により命に関わることもあるので、レインパンツは必須です。
初心者には、上下セットで売られているレインウェアが使いやすいですね。
私も初めてレインウェアを買ったときは、上下セットのものでした。
(2) 完全防水
これはもう気にしなくていいと思います。
アウトドア用レインウェアはほとんどが完全防水なので、雨の侵入を防いでくれます。
とはいえ、「それでは選びにくくて困る」という人もいるでしょう。
登山用レインウェアの目安としては、耐水圧20,000mmが基準です。
耐水圧とは「どのくらいの雨に耐えられるか?」を示した数値です。
レインウェアを選ぶときは、ただの防水ではなく「完全防水」かどうかは確認しておくといいでしょう。
(3) 透湿性は重要!
レインウェアを選ぶうえで、ここが重要です。
防水性は当然ですが、透湿性がないと登山では大変な思いをします。
透湿性とは、ウェア内の汗や湿気を外に逃す機能です。
100均で売っているようなビニール製のレインコートだと、防水性はあっても透湿性がないため、長時間着ているとコート内に湿気が溜まり、衣服が濡れてきます。
山での「濡れ」は、寒さや体調不良の原因になるので、レインウェアは透湿性のあるものを選びましょう。
透湿性の数値については、高いほど快適になりますが、同時に値段も高くなりやすいので、初心者のうちは「透湿性が大事」と思っておけばOKです。
(4) サイズは少し大きめ選ぶ
レインウェアは、ぴったりよりも少し大きめのサイズを選びましょう。
「ジャストサイズでは、ダメなの?」と思うかもしれませんが、レインウェアは着用時の動きやすさも大切です。
寒い日はレインウェアの中に厚手の長袖やフリースを着ることもあるので、重ね着しやすいように、そのぶんのゆとりが必要なのです。
レインウェアを選ぶときは、ジャストすぎないサイズを選ぶようにしましょう。
あわせて読みたい >> 初心者向け!山の服装【レイヤリング】について知っておこう
(5) ベンチレーションがあると夏も快適
レインウェアを見たとき、「妙に高い位置にポケットがついてる」「この脇の下のジッパーは何?」と思ったことはありませんか?
それは、ベンチレーションというものです。
ベンチレーションとは衣服内の体温調節をするための機能で、開けると風通しが良くなり、熱を逃すことができます。
登山中はたくさん汗をかきますし、衣服内に熱がこもりやすくなるので、ベンチレーションがあると便利です。
特に夏場はレインウェアにベンチレーションがあると、山で快適に過ごしやすくなりますよ。
初心者なら軽量性と耐久性に、あまり神経質にならなくていい
低山や日帰りハイク中心の初心者なら、レインウェアの軽量性と耐久性はそこそこあれば十分といえます。
理由は、その優れた機能性を使いきれない可能性があるからです。
もちろん、荷物の重量や長持ち度合いを考えると、軽くて丈夫なウェアであるにこしたことはありません。
しかしそのぶん、値段も高くなり、「ここまでハイスペックなものが必要だったかな?」と思うこともあるでしょう。
アウトドアブランドのレインウェアであれば、3層でも2.5層(パックライト)でも、初心者が登るような山に必要な機能性は、ほぼ備わっています。
高山にも挑むようになってくれば、軽量性や耐久性にもよりシビアになっていきますが、登山初心者のうちは「レインウェアは軽い方がいいんだな」くらいに考えておくといいでしょう。
初心者によくある疑問を解決!「ゴアテックス?」「ポンチョはだめ?」
レインウェアを調べていると、専門用語がたくさん出てきますよね?
初心者にとっては「意味わからん」と思うことも多いでしょう。
ここでは、レインウェア選びにありがちな悩みについてお答えします。
ゴアテックスは何がいいの?
レインウェア選びに迷ったら「ゴアテックスなら安心」とよく聞きますよね?
ゴアテックスとは、防水・透湿・防風性能に優れた、高機能素材のことです。
みんなが「ゴアテックスがいいよ」という理由は、ゴアテックスには長い歴史と積み重ねた実績があり、知名度も高く、世界的に信頼されているブランドだからです。
雨風をシャットアウトして汗や湿気を逃す素材は、最高クラスの快適性として、過酷な自然環境に挑む世界中の登山家やガイドに愛用されています。
今でこそ数多くのブランドがゴアテックスに変わる独自素材を開発していますが、依然としてゴアテックスが人気なのは、世界的に認められた実績とブランド力があるからです。
他のメーカー素材を使ってもいいの?
レインウェアを買うときに「ゴアテックス以外の他の素材でもいいのか」と迷う人は多いと思いますが、ゴアテックス以外の素材もありだと思います。
メーカー独自の防水透湿素材としては、
- モンベル:ドライテック
- コロンビア:オムニテック
- ミズノ:ベルグテックEX
- ファイントラック:エバーブレス
- ザ・ノースフェイス:フューチャーライト
などがあります。
ゴアテックスに負けるとも劣らない、初心者の登山には十分な機能性を備えた独自素材も多いので、予算と相談してメーカー独自素材に決めるのもありですね。
「○層」「○レイヤー」とは何のこと?
レインウェアの説明を見ていると、「これは3層構造です」「2レイヤーです」といった表記がよく出てきますよね。
「層」も「レイヤー」も同じ意味で、「そのレインウェアに生地を何枚重ねているか」を示します。
3層なら3枚、2層なら2枚といった具合です。
レインウェアの層の違いについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
あわせて読みたい >> レインウェアの層の違いとは?特徴やおすすめの人を徹底解説
透湿性と通気性の違いは?
これは初心者にはわかりにくいですよね……。
「どちらも同じ意味では?」と思うかもしれませんが、実は違います。
簡単にいうと、透湿性と通気性の違いは、風を通すかどうかです。
透湿性は風を通しませんが、通気性は風を通します。
通気性があるとウェア内に風が入ってくるので、夏場や運動量が多い場合には、より涼しく感じるでしょう。
ポンチョはだめなの?
登山では基本的に、ポンチョはNGです。
ポンチョは、手軽に着られて動きやすい点がメリットですが、下半身は雨から守れません。
そのため、風の強い環境だとポンチョはめくられ、足元がずぶ濡れになります。
体が濡れた状態で風に吹かれると、体温がどんどん低下していき危険な状態になるので、レインウェアは上下セパレートにしておきましょう。
逆に、平坦で風の影響が少ない道であれば、ポンチョの方がサッと着れて、使いやすいかもしれませんね。
【上下セット中心】初心者におすすめのレインウェア10選
レインウェアは数多くの種類があるので、初心者なら「どれを選んだいいかわからない」となることも多いですよね?
ここでは、初めて登山する人でも手が出しやすい、上下セットのレインウェアを中心にご紹介します。
キッズ用レインウェアについては、こちらの記事をどうぞ。
>> 登山やハイキングに必須!子ども用レインウェアのおすすめと選び方
プロモンテ|ゴアテックスレインスーツ
ゴアテックス素材を使用した、レインウェアです。
この価格帯で、防水透湿性の高いゴアテックスを採用した上下セットなのが、すごいですね。
雨や風はシャットアウトして、衣服内の湿気は外に逃すので、肌を快適な状態に保てます。
3レイヤー構造で丈夫な設計は、登山からキャンプまでオールラウンドに使えますよ。
ミズノ|ベルグテックEXストームセイバーVI レインスーツ
スポーツメーカーのレインウェアだからといって、侮ることなかれ。
ベタつきを抑えた3レイヤーの構造は、耐水圧30,000mm、透湿性16,000g/m2の機能性を誇ります。
撥水性も高く、洗濯を100回してもまだ水を弾くという驚きの性能です。
上下セットなのは、言うまでもありません。
軽量でコンパクトに持ち運びできるなど、プロのガイドも愛用する実力派レインウェア。
ザ・ノースフェイス|レインテックスプラズマ
ゴアテックスを採用した、3レイヤーの防水透湿レインウェア。
上着フロント部分のダブルフラップは雨や雪の侵入を防ぎ、袖口はベルクロの調節で隙間からの風の侵入を防げます。
軽量かつ耐久性に優れたつくりなので、初心者からベテランまでを満足させてくれるでしょう。
値段は決して安くありませんが、人気アウトドアブランドの上下セットなので妥当なところかもしれませんね。
山小屋泊を伴う登山や、後々は「高山へもチャレンジしたい」と考えている本格派の人におすすめです。
コロンビア|シンプソンサンクチュアリー II レインスーツ
シンプソンサンクチュアリー IIは、機能性だけでなく、おしゃれ感も大事にしたい人に使ってほしい一着。
コロンビア独自の防水透湿素材「オムニテック」を採用したモデルは、衣服内のムレを最小限に抑えるなど、ハイキングやトレッキングに必要な機能性を備えています。
メッシュのポケットはベンチレーションの役割も果たすので、夏場は通気性を良くして、快適に過ごせるはず。
収納袋付きで持ち運びやすく、野外フェスにも使える上下セットです。
カナディアンイースト|レインウェア
大自然と人との共鳴を目指す、本物のアウトドアスタイルを提唱するブランド、カナディアンイースト。
シンプルなレインウェアは、耐水圧 20,000mm、透湿性8,000g/m2と、初心者が行くような山に必要な機能性としては十分な数値です。
上下セットで値段もお手頃なので、「これから登山やトレッキングを始めてみたい」と思っている人のエントリーモデルにいいでしょう。
男女ともにカラーバリエーションが豊富なので、おしゃれな雰囲気で山登りができますね。
モンベル|レインダンサー
モンベルは定番なので、知っている人も多いかもしれませんね。
レインダンサーは、私が最初に買ったレインウェアです。
標高2,000mの夏山から冬のキャンプにまで着ていたので、その機能性は確かです。
上・下別売りのレインウェアになりますが、上下セットで買っても、他のアウトドアブランドのジャケット単品と同じくらいの価格です。
機能性と価格のバランスに優れた、ゴアテックス使用のモデル。
モンベル|サンダーパス
モンベル独自の防水防湿素材「ドライテック」を採用したレインウェアです。
耐水圧20,000mm以上、透湿性15,000g/m²の機能性なので、カラーが気にいるのなら、こちらのモデルでもいいかもしれませんね。
重量325g(メンズ)はレインダンサーとほぼ変わらないうえ、腕の動きやすさや着心地も追求して作られています。
「別にゴアテックスでなくてもいいよ」という人は、サンダーパスで登山の雨対策をするのもありでしょう。
ファイントラック|エバーブレスフォトン
ファイントラックの独自素材「エバーブレス」を使用した、3レイヤーのレインウェアです。
正直、次にレインウェアを買うなら、これかなと思っています。
動きやすさと着心地を追求した防水透湿シェルは、雨風を防ぎ、しなやかな動きを実現。
スマートなシルエットなので、普段の行動着としても活躍してくれそうです。
上下別売りのモデルなので、パンツは「エバーブレスフォトンパンツ」もしくは「エバーブレスレグンパンツ」あたりを買うといいでしょう。
レインウェアを雨の日だけでなく、晴れの日の防寒着としても使いたい人に最適なモデルです。
オンヨネ|ブレステック2.5L レインスーツ
予算で選ぶのであれば、オンヨネのレインウェアがいいかもしれませんね。
オンヨネのレインウェアは高機能ではありませんが、登山入門には必要なスペックを備えています。
耐水圧は20,000mm以上、 透湿性は16,000g/m²です。
ただ、カラーバリエーションが少ないので、好みの色が見つかれば、といったところになりますね。
上下セットのモデルは、2.5レイヤーの他に3レイヤーもあります。
レインウェア選びで注意したいこと3つ
(1)「安さ」だけで選ばない
レインウェアを選ぶときは、値段の安さだけで選ばないようにしましょう。
登山では急に雨風が強くなっても、近くに避難場所がないことはしょっちゅうです。
機能性が不十分だと低体温症などのリスクも増加し、下手したら命に関わることもあります。
高価なレインウェアが必ずしも必要というわけではありませんが、値段だけを見てレインウェアを決めないようしましょう。
(2) おしゃれより機能性が最優先
レインウェアは、機能性が最優先です。
おしゃれ感を大事にしたいのはよくわかりますが、まずは「衣服内のムレを解消してくれるか」「動きやすいか」などの機能性を優先しましょう。
そのうえで自分好みのデザインを選ぶのが、失敗しないコツです。
(3) 一度、買う前に試着してみる
できればレインウェアは、一度お店で実物を見てみることをおすすめします。
耐水圧や透湿性など、数値の上では基準をクリアしていても、実際に着てみると「思ったより窮屈」「足が上げにくい」と感じる可能性があるからです。
最初に選ぶ一着は、「登山の楽しさ」を左右することもあるので、一度着てみて、違和感がないかどうかや、動きやすさを確認しておくといいでしょう。
使用後は、洗濯も忘れずに
レインウェアは、自宅でも洗濯ができます。
洗う頻度としては、使うたびに洗濯するのが理想です。
「そんなに洗濯して大丈夫」と思うかもしれませんが、レインウェアでは撥水性が大切です。
自然乾燥だけだと、汚れやホコリがウェアの表面にたまっていき、だんだん水を弾かなくなっていきます。
使用後は洗濯をして撥水性を回復させることで、レインウェアも長持ちするようになりますよ。
あわせて読みたい >> 【自宅】中性洗剤を使った、レインウェアの洗濯・撥水処理のやり方
まとめ
登山用レインウェアは、山で雨風から身を守るために欠かせないアイテムです。
必要な機能性はいろいろとありますが、特に衣服内のムレや湿気を逃す “ 透湿性 ” は意識しておくといいでしょう。
この機能がないと、たくさん汗をかく登山やトレッキングでは大変な思いをします。
アウトドアブランドのレインウェアなら、登山に必要な機能性はほぼ備わっているので、低山や日帰りハイク中心の初心者は、ご紹介したレインウェアから好みのデザインを選んでみるといいでしょう。
ぜひレインウェアを用意して、安全・快適な登山を楽しんでくださいね。