レインウェアを調べすぎて、「結局、何を買ったらいいのかわからない…」と悩んでいませんか?
私もアウトドア専門学校に入学し、登山を始めたばかりの頃はそうでした。
レインウェアは高価なものだけに「絶対に失敗したくない」との思いから、登山に詳しい友達によく話を聞いていました。
そこで今回は、登山初心者に向けたレインウェア選びのポイントについてご紹介します。
ゴアテックスにするか、メーカー独自素材にするか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
で、結局、何を買えばいいんですか?
ずばりこれですよね。
レインウェアについていろいろ調べた結果、「結局、何を買ったらいいのわからなくなった…」というのは初心者にとってよくあることです。
結論から言うと、自分の目的に合ったものを買いましょう。
「いや、それがわからないんだよ!!」と怒りの声が飛んできそうですが、そうとしか言えないのです。
なぜなら、レインウェアは個々の使用頻度や登る山の難易度などによって、選ぶべき機能性が異なるからです。
「どこまでの機能性が必要か」はケースバイケースなので、具体的に「あなたにはこれがベストです」と言うには、個別にアドバイスしていくしかありません。
着用感やデザインの好みもある
それにレインウェアは、着心地やデザインの好みもあります。
機能性が十分だったとしても「着用感がイヤ」といった理由から断られることもあり、「このレインウェアなら絶対に大丈夫」とは一概に言い切れません。
直接会って話を聞くでもしない限り、結局は「自分の目的に合ったものを」としか言えないのです。
ただそうは言っても、初心者が選ぶべきレインウェアの範囲を絞り、購入を後押しすることはできます。
ぜひこの記事を最後まで読んで、レインウェア選びの参考にしてみてください。
あわせて読みたい >> 【簡単】登山レインウェアの選び方。初心者には上下セットがおすすめ!
初心者に高機能ウェアは、必ずしも必要ない
レインウェアを選ぶ基準は「自分の目的に合ったものを」となるわけですが、覚えておいてほしいのは、自分では使いきれないほどの機能性は必要ないということです。
いわゆる、オーバースペックというやつですね。
理由は、ウェアが持つ高機能性を活かせないからです。
たとえば、夏の低山しか行かず、しかも日帰りだけという人に、厳冬期の3,000m級山岳にも耐えるウェアは必要ありませんよね?
ついつい「大は小を兼ねる」という安心感で買ってしまいたくなりますが、身の丈に合った機能性があれば十分なのです。
また、高機能ウェアは値段が高いことも多いので、お金もかかりますね。
悩める人多数…やっぱりゴアテックスがいいの?
「ゴアテックスでなきゃダメ」ということはない
防水透湿性を代表する素材といえばゴアテックスですが、「絶対にゴアテックスでなければいけない」ということはありません。
今はメーカー独自素材も、ゴアテックスに勝るとも劣らないほど優秀です。
耐水圧などの数値を見る限り、メーカー独自素材も十分な機能性を備えているので、山の難易度やレインウェアの使用頻度によっては、メーカー独自素材もありでしょう。
ゴアテックスは世界的な知名度も高く、最高レベルの防水透湿生を発揮するとして、プロの山岳ガイドも愛用しているブランドです。
しかし、後発であるメーカー独自素材も進化を続けているので、必ずしもゴアテックスでなければいけないということはありません。
耐水圧は20,000mmが目安
耐水圧は各レインウェアによって数値がバラバラであり、初心者を混乱させるポイントです。
結論を言うと、登山のレインウェアは、耐水圧20,000mmもあれば十分とされています。
スキーやアウトドアウェアを展開する日本メーカー“オンヨネ”は、過酷なアウトドア環境に耐えるため、この20,000mmという数字をレインウェア開発の基準としているくらいです。
レインウェアは耐水圧20,000mm以上もあれば、機能性としては十分といえるでしょう。
街中の大雨でも、耐水圧は10,000mmくらい
参考までに、街中で雨が降ったときの耐水圧とイメージは、以下のような感じです。
耐水圧 | 降り方 | イメージ |
300mm | 小雨 | 雨がパラパラと降るレベル。 カサがなくてもいける |
2,000mm | 中雨 | 雨がサァーと降って、傘が必要なレベル |
10,000mm | 大雨 | ザァーザァー降り。土砂降り。 カサを差すのがしんどいレベル |
20,000mm | 嵐・台風 | 大雨&強風で、カサがひっくり返るレベル。 立っているのもツラい… |
ex:カサの耐水圧は約250mm。
でも、なぜか2,000mmまで耐えられるのが不思議です。
参考: 耐水圧・透湿性って一体何?合羽を選ぶ前に知らなきゃ絶対損!|ワークユニフォーム
耐水圧 20,000㎜以上のレインウェアであれば、余程過酷な状況で使用するのでなければ、どのメーカーでも機能性に大差ないとされています。
ココに注目!初心者向けレインウェア選びのポイント
最初にお伝えしたように、レインウェアは「自分に合ったもの」を選ぶことが大切です。
しかし、この「自分に合ったもの」という概念はとても曖昧なので、ここではレインウェアを選びやすくするため、 “レインウェアの使用頻度” と “山の難易度” に注目して解説します。
【どっちを選ぶ?】ゴアテックスとメーカー独自素材
以下の表は、ゴアテックスと独自メーカー(非ゴア)の境界線を示しています。
縦軸が “山の難易度” で、横軸が “レインウェアの使用頻度” です。
表はあくまで私の見解ですが、レインウェアを絞るための一つの目安にしてみてくださいね。
※ 使用頻度(耐久性選びに影響):「レインウェアを携行する頻度=使うかもしれない」
※ 低山〜高山(防水・透湿レベルなど機能性に影響)
低山中心なら、メーカー独自素材もあり
低山中心の場合は、独自メーカー(非ゴア)にも対応できる機能性が十分にあります。
今後、高山(2,000m級の山)にも挑戦するつもりであれば、ゴアテックスも検討してみるといいかもしれません。
ただし、非ゴアでも富士登山に対応したモデルも出ているので、自分が安心できる方を選んでおくといいでしょう。
中山(1,500〜2,000m)も行く人は、歩行時間や宿泊日数がポイント
中山(1,500〜2,000m)は、正直、微妙なところです。
夏山の日帰り中心などであれば非ゴアでも十分かもしれませんが、長時間の歩行や宿泊が絡んでくると、もしかしたら機能性に不足を感じるかもしれません。
繰り返しになりますが、選ぶべきレインウェアについては大まかに「あなたにはこんな感じのもの」とは言えますが、具体的なアドバイスは個々の登山スタイルによって異なります。
そのため「低山なら非ゴアで大丈夫」「高山で非ゴアはダメ」というようなことではありません。
表はあくまで一つのツールとして考えるようにしてください。
初心者におすすめのレインウェアについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
あわせて読みたい >> 【簡単】登山レインウェアの選び方。初心者には上下セットがおすすめ!
プラスアルファ、知っておくと役に立つ豆知識
ここではレインウェアについて、プラスアルファ知っておくと役に立つ豆知識を2つご紹介します。
- レインウェアは、防寒着としても使える
- こまめな洗濯でウェアは長持ちする
1. レインウェアは、防寒着としても使える
レインウェアは雨対策としてだけでなく、風が強いときや肌寒いときの防寒着としても活躍します。
アウター代わりに使うと荷物も減って、登山中の疲労軽減にもつながりますね。
登山では荷物を極力少なくして軽量化していきたいので、レインウェアを防寒着として使うテクニックも覚えておくといいですよ。
2. こまめな洗濯でウェアは長持ちする
レインウェアはこまめに洗濯することで、雨を弾く効果(撥水性)が回復し、寿命を延ばせます。
撥水性が落ちる主な原因は、汗や皮脂、汚れです。
表面の撥水性が落ちると、水蒸気の通り道がふさがれ、ウェア内がムレやすくなります。
レインウェアが洗濯機で使えるかについては、素材によってOKだったり、NGだったりするので洗濯前によく確認しておきましょう。
ゴアテックスの場合、柔軟剤や漂白剤が入っていない中性洗剤であれば、自宅でも洗濯可能です(私の友人は『ナノックス』推しでした)。
柔軟剤はウェアの色に、漂白剤はウェアの性能に影響を与えてしまうので注意が必要ですね。
レインウェアの詳しい洗い方については、以下のサイトが参考になります。
【洗濯機】
「ゴアテックスなら大丈夫」は本当?実際のところを日本ゴア社で聞いてきた
【手洗い】
レインウェア メンテナンス|ONYONE
まとめ
初心者にとってレインウェア選びは、なかなかに難しい問題です。
まだ登山経験もほとんどないのに、「どのくらいの機能性が必要か」といわれて、わからなくても無理はありません。
レインウェアは、防水透湿性に優れたゴアテックス素材だと安心ですが、価格も高くなりやすいので、低山中心で使用頻度もあまり多くないのであれば、メーカー独自素材を選ぶのもいいでしょう。
なるべく長持ちするレインウェアが欲しい気持ちはよくわかりますが、最初のうちは色々と調べた上で、「これがいいかな」と思うウェアを買うのがベストです。
何度か登山経験を積むことで、必要な機能性もわかってくるので、そのときにはまた別のレインウェアを試してみたくなると思います。