「登山は服装が大事」とはわかっていても、初めて登山する人や未経験の人であれば、何をどうしたらいいのかと悩みますよね?
この記事は、こんな人におすすめです。
- 登山の服装がわからなくて困っている人
- 林間学校などで、子どもが登山をする人
- 初めての登山で、ウェア選びに悩んでいる人
登山では動けば暑くなり、止まれば寒くなりやすいため、レイヤリングという服装方法で温度調節をします。
難しいことは何もなく、レイヤリングとは重ね着のことです。
雨風など急な天候変化に対応するためには、このレイヤリングが欠かせません。
そこで今回は、山の服装【レイヤリング】についてご紹介します。
この記事は主に、子どもの登山を対象に書いていますが、基本的な山の服装は大人も同じです。
わかりやすく解説するので、ぜひ服装の参考にしてみてくださいね。
レイヤリングとは、重ね着のこと
レイヤリングとは、重ね着のことです。
登山では急な天候の変化や行動中の発汗量・体温の変化に、こまかく対応しなくてはなりません。
標高は100m上がるごとに、約0.6度気温が下がります。
1,000m登れば約6度、2,000m登れば約12度下がるため、平地では真夏日でも山頂付近は、春・秋並みに涼しいことがあります。
そのため、夏場でも薄手のウェアを組み合わせるなど、レイヤリングは欠かせません。
また、汗に濡れた状態で風を受けると体が冷えて、汗冷えや低体温症を起こす可能性があるので注意が必要です。
そういったリスクを減らすためにも、山の服装はレイヤリングが基本となっています。
服の素材は、化学繊維かウールを選ぶ
登山では、化学繊維素材のウェアを選びましょう。
ポリエステルやナイロンなどの化繊素材は、汗の乾きが早く、衣服をドライな状態に保ってくれます。
ウール素材も夏はさらっと着られて、冬は暖かいことから人気がありますね。
ただし、綿(コットン)だけはNGです。
綿は着心地にこそ優れていますが、汗の乾きが遅いため、汗冷えするリスクがあります。
登山ではジーンズもNGなので、素材は化学繊維かウールを選びましょう。
【重ね着のやり方】登山の服装と基礎知識
登山の服装は、衣類を1枚、2枚と着込んでいくレイヤリングが基本です。
とはいえ、「何をどう重ね着したらいいものか……」と思う人もいますよね?
アウトドア用のウェアは大きく分けると、以下の3つに分類されます。
① インナー
② ミッドレイヤー
③ アウター
「むずかしそう……」と思うかもしれませんが、大丈夫です。
つまりは「インナー・ミッドレイヤー・アウターを順番に着て、山の服装をコーディネートしよう」というだけの話です。
登山の服装を調べたとき、「〇〇レイヤー」という言葉が必ずといっていいほど出てきます。
「〇〇レイヤー」とは「層」を意味していて、「重ね着で使うんですよ〜」といった意味合いです。
以下の表では、それぞれのレイヤーが持つ役割と代表的なウェアをまとめたので、まずはこちらをご覧ください。
【登山の服装:3つのレイヤー】
名称 | 別名 | 主な役割 | 代表的な ウェア | |
① | インナー (ベースレイヤー) | 肌着 | 汗や湿気を吸って、 外に逃す | ・Tシャツ ・ロングスリーブ |
② | ミッドレイヤー | 中間着 | 保温 | ・フリース |
③ | アウターレイヤー | 上着 | 防水・防風 | ・ジャケット ・レインウェア |
登山では、①のインナー(肌着)から②、③までを順番に重ね着していきます。
インナーは、汗や水蒸気になった汗を吸収し、外に逃す役目をしています。
ミッドレイヤーは、体を温めるだけでなく、インナーから伝わってきた汗や湿気を外に逃す役割もします。
アウターは、雨風を防ぐためのウェアです。
同時にミッドレイヤーから伝わってくる、汗や湿気を最終的に外に逃してくれるウェアでもあります。
山のウェアはフロントファスナーが付いているものだと、温度調節がしやすく、脱ぎ着もラクですよ。
【図解あり】春秋・夏・冬の登山コーディネート
登山の服装は、季節や天候によって変わります。
ここでは図解を交えて、季節別に登山のコーディネートをご紹介します。
レインウェアは必須の持ち物と想定しているので、そのつもりで読んでみてください。
春・秋の服装
春・秋の登山はまだ肌寒いことがあるので、保温性を意識してコーディネートしましょう。
アウトドア用のレインウェアは防風性があるため、風対策の防寒着としても使えます。
インナーは天候やコンディションに合わせて、Tシャツか長袖かを選ぶといいですよ。
【春・秋のコーディネート例】
インナー(肌着) | ・ロングスリーブ ・Tシャツ |
ミッドレイヤー(中間着) | ・フリース |
アウター(上着) | ・ソフトシェル ・レインウェア |
夏の服装
夏の服装は、Tシャツ一枚がメインになると思います。
でも、汗をかいた状態で風に吹かれると体温が低下しやすくなるので、防寒着は必須です。
汗を吸ってくれて乾きの早い、ドライ加工のTシャツや、通気性のあるウェアを身に付けるといいでしょう。
【夏のコーディネート例】
インナー(肌着) | ・Tシャツ(吸汗速乾性) |
ミッドレイヤー(中間着) | ・薄手のフリースなど |
アウター(上着) | ・ウィンドブレーカー ・レインウェア |
冬の服装
登山初心者で冬山に行く人は、少数派かもしれません。
冬の服装は保温性だけでなく、汗ムレによる体の冷えも防止する必要があります。
インナーには吸湿速乾性のウェアを着ると、水蒸気となった汗が外に逃げやすくなるでしょう。
雪山では、アウターと一緒にパンツも必要ですよ。
【冬のコーディネート例】
インナー(肌着) | ・ウールや化繊素材の長袖 |
ミッドレイヤー(中間着) | ・フリース ・化繊中綿入りのジャケット |
アウター(上着) | ・ハードシェル ・レインウェア |
子どもは大人と比べて、汗をかくのが苦手……
子どもは大人と比べて、汗をかくのが苦手です。
「いつもたっぷり汗をかいている気がするけど」と思うかもしれませんが、まだまだ発汗能力は未発達であり、大人より汗を出す能力は劣ります。
子どもの主な体温調節の手段は、熱の放出です。
汗が出にくいぶんは、熱によって体温を逃しているんですね。
ただし夏場など、子どもの体温以上に気温が高い環境では、逆に外の熱が入ってきて、熱がこもりやすくなります。
参考:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック|公益財団法人 日本スポーツ協会
そのため、登山ではこまめに衣類を着脱して、涼しくしたり、保温したりする必要があります。
厚手のジャケット一枚だと、子どもは体温調節が難しいので注意しましょう。
ジャージやスポーツウェアも活用しよう
化学繊維の素材であれば、アウトドアウェア以外の服を着るのもありですね。
「登山するのは林間学校だけ」など、一度しか山登りしない場合に、わざわざ新しいウェアを買うのは気がひけませんか?
そんなときは、自宅にあるジャージやスポーツウェアなどを積極的に活用しましょう!
本格登山にチャレンジするというときには、改めて高機能なアウトドアウェアを検討してみるといいですよ。
まとめ
登山ではレイヤリング(重ね着)によって体温を調節し、天候の変化に対応します。
インナー・ミッドレイヤー・アウターの3種類を組み合わせて、服装をコーディネートするのが基本です。
ウェアを選ぶときは、汗の乾きがよく、ムレを解消してくれる化繊素材のものを選びましょう。
登山ではなるべく荷物量を減らしたいので、ウェアは軽量コンパクトなものの方が疲れにくく、持ち運びもしやすいはずです。
重ね着は少し面倒かもしれませんが、安全に登山をするためにも、ぜひ意識してコーディネートしてみてくださいね。