新しいことを始めるとき、挑戦するときには、必ずといっていいほど馬鹿にする人が現れます。
「そんなこと無理だよ」
「できないよ」
「それ見たことか」
せっかく前向きに頑張っていても、そんな心ない一言を浴びると気持ち落ち込んでしまいますよね。
でも、何かに一生懸命に打ち込み、頑張っているあなたは、とても素敵だと思います。
今回はそんな頑張る人に向けて、私の経験を交えて思うことを書いてみました。
頑張る人を馬鹿にするな

何かに挑戦しようというとき、必ずといっていいほど馬鹿にする人がいます。
私はアウトドア専門学校1年生のとき、ある2年生の先輩がトレイルランニングレース50kmに出場しているのを会場で見ました。
レース出場は授業の一環で、1年生は来年出場するために現地で見学する決まりだったのです。
私はその先輩と学科も別で、特に深い関わりがあったわけではありません。
ただ、学校で見かける感じから「あんまり走るのが得意じゃないんだろうな」という印象でした。
でも、その先輩は見事に完走しました。
コースは50kmあるので、普段からトレーニングしていないと絶対に完走できない距離です。
私はゴール前にいたのですが、その先輩が他の2年生と喜び合っているところを見るからに、「相当頑張ったんだろうな」と思いました。
これまでの苦労や努力があったからか、その先輩はゴール直後に泣いていましたね。
でも、それを見ていた周囲の選手の中から、「いやいや、泣くとか……」という声が聞こえてきました。
おそらくその選手からすれば50kmなんていつものことで、大したことのない距離だったのかもしれません。
「ゴールしたくらいで、泣くこと?」という気持ちだったのでしょう。
これが、私にはショックでした。
みんなが感動しているところに、そんなことを言うアウトドア派の選手がいることに。
その選手は見た目にも速そうな印象だったので、順位もトップクラスなのかもしれません。
だからこそ、そういう実力者が、他人の頑張りや頑張った姿を馬鹿にする一言を言い放ったのがショックだったのです。
私はたとえどんなにアウトドアの知識や技術に長けていて、周りから「すごい」と言われる選手であっても、他人の努力や頑張りを馬鹿にしたり、喜びに水を差すような人を尊敬はできません。
なぜ、できない人の気持ちがわからないのか

人のことを馬鹿にする人は、できない人の気持ちがわからないのだと思います。
最初から上手にできる人か、もしくは失敗したことがない人という感じでしょうか。
このトレランの話でいえば、他人を小馬鹿にするようなことを言ってきたこの選手は、最初から走りが得意な人だったのかもしれません。
最初からできる人であれば、むしろ「何でできないの?」と思うこともあるでしょう。
でも一方で、本当の意味で挑戦した経験がないという可能性もあります。
「自分にはできないかも」「無理かも」と思うことにはチャレンジせず、自分にできる範囲・分野のことしかやってこなかった人です。
理由としては、それこそ人の目や声が気になって、「馬鹿にされるのが怖い」といった感じでしょうか。
表向きは自信ありげに見えても、心の奥底ではチャレンジが怖いのかもしれません。
上手くいかない可能性があるくらいなら、やらない方がマシという考えです。
一見、周囲には挑戦しているように見えても、本人の中では安全圏にいるという場合もあります。
自分の中の「ここまでならできる」という安心ゾーンにいるだけで、決して「できるかどうかわからない」ゾーンには手を出さないわけです。
私はこのトレランレースに出場した2年生の先輩は、自分に挑戦した人だと思います。
50kmを完走できるかもしれないし、できないかもしれない。
そんな不安と希望を感じながら、走ったのでしょう。
他人の頑張る姿を馬鹿にする人は、天才ということもありえますが、もしかしたらネガティブ思考だったり、本当の意味で挑戦した経験がなかったりする人なのかもしれません。
挑戦して失敗を乗り越えてきた人は、決して人を馬鹿にはしない

自分自身、できるかどうかわからないことに挑戦してきた人は、決して人を馬鹿にしないと思います。
新しいことを始めたり、変化しようとしたりする過程では、必ず失敗が起こります。
やったことがないのに、最初から上手くやろうとするのは無理がありますからね。
そして何かに挑戦している人ほど、人生で失敗や挫折を多く経験しています。
自分も同じような経験をしてきたので、できない気持ちがわかるのです。
「どうして上手くいかないの」
「自分ではダメかもしれない」
「これをやって何の意味があるんだろう」
そんな状況を経験して乗り越えてきているので、他人を馬鹿になんてしないはずです。
できなかった頃の自分を知っているので、痛いほど気持ちがわかるのではないでしょうか。
少なくとも、私はそう思います。
他人よりも、自分の気持ちを優先してほしい

「他人」と書きましたが、人によっては他人ではなく、家族かもしれません。
いずれにせよ、やりたいことがあるのであれば、馬鹿にする人の意見よりも自分を優先してほしいなと思います。
「本当はこれがやりたかった」という気持ちは、いつまで心の中に残ります。
「あのとき、こうすればどうなっていただろう……」
そんな気持ちを抱えて、この先の人生を送っていくのは、とてももったいないと思います。
私は市役所職員を退職し、別の人生を選んだのは、そんな理由からです。
「馬鹿にされるかもしれないからやらない」という選択もありますが、今度はやらなかったために、自分を嫌いになってしまう可能性が出てきます。
「馬鹿にされてもいい」
「嫌われてもいい」
そう思うことはとても勇気のいることですが、後悔は本当に心に残ります。
馬鹿にされてもいいじゃないですか。
私も失敗だらけですが、何も挑戦しないまま人生終わるよりは、ずっと良いと思います。
できるどうかわからないこと、やったことがないことだとしても、自分が心から「やってみたい」と思うのであれば、ほんの小さなことからでもチャレンジしてほしいなと思います。