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コロナが明けても、人と接する仕事は衰退したままなのか?キーワードは“必要性”と“欲求”。

コロナが明けても、人と接する仕事は衰退したままなのか?キーワードは“必要性”と“欲求”。

コロナが明けても、人と接する仕事は衰退したままなのか?キーワードは“必要性”と“欲求”。

あるビジネス書に、こんな一文が書かれていました。

人との接触や移動をなるべく避けるという風潮は、今後もずっと続く可能性があります

コロナの影響を受けて、私たちの生活様式や働き方は一変しました。

外出を控えるようになり、仕事もオンライン化が加速的に進み、在宅ワークやリモートワークが一気に普及しました。

密集した場所を避けて、できるだけ人に会わずに過ごすことが一般化したといえます。

問題なのは、「コロナが明けた後も、その傾向は変わらないのか?」ということです。

特に、私のように接客業をしている人にとっては、死活問題といえるでしょう。

イベント、飲食店、アパレル関係などもそうですね。

コロナが明けても、人との接触を避ける風潮は続く可能性。けれど……

「人との接触や移動はなるべく避ける風潮は、今後もずっと続く可能性がある」。

このことに関して、完全には否定できません。

コロナの影響で築かれた生活様式は、もはや一過性のものではなく、確実に私たちの生活パターンに浸透しています。

特に在宅ワークや会議のオンライン化など、仕事の進め方に関しては、企業も労働者も「これでいいじゃない」と思う部分があり、コストダウンにも繋がっているとなれば、今さら従来のスタイルに戻す理由がありません。

世の中の流れや人々の意識を考えると、今後も人との接触を避けたり、移動を制限したりする流れは続くでしょう。

ただ、だからといって、私は人に直接会う仕事やサービスがもうダメだとは思いません。

なぜなら、人の行動は、感情と密接に結びついているからです。

たとえ、ダメだとわかっていても、頭の中では理解していても、やらずにはいられないときがあるようにです。

キーワードは、必要性と欲求

今後、体験活動やイベントなど、人と接する仕事が回復するかどうか、方向転換が必要かどうかの判断はどうしたらいいのか?

そのキーワードは、“ 必要性 ”と“ 欲求 ” にあると思っています。

簡単に言えば、消費者がそのサービスを利用するときに、「どのような思いを抱いているか」です。

「必要性」とは、ある目的を達成するために仕方なくやっている活動のことで、「欲求」とは、やりたいからやっている活動です。

今やっている仕事・業務が、このどちらに該当するのかによって対策は変わってくるでしょう。

必要性:しょうがなくやっている行動

「必要性」とは、消費者(労働者)としては本当はやりたくないけれど、ある目的を達成するために仕方なくやっているような行動です。

言い換えれば、「〜しなければならない(must)」と感じられるものですね。

  • 毎日の通勤・出社
  • 役場での手続き
  • 対面での打ち合わせ

これらは多くの場合「お金を稼ぐため」「転出・転入届を出したいから」など、ある一定の目的を達成するために、しょうがなくやっているので、「行きたくない」「めんどくさい」と思っていることも珍しくありません。

やらなくていいのであればやりたくないし、もっとラクな手段があるのであれば、そっちを選びたいといった気持ちもあるでしょう。

思うにリモートワークや在宅ワークがここまで普及したのは、単にコロナで社会情勢が変化だけが理由ではありません。

もともと人々の中に

「自由に働きたい」
「嫌いな人に会いたくない」
「無駄な業務はうんざり」

といった思いがあったため、割とすんなり受け入れられたのだと考えられます。

そうでなければ、もっと反発の声が上がったり、暴動が起きているはずですからね。

そしてコロナ収束後も、消費者がこれまで「必要性」からしょうがなくやっていた人に会う行動に関しては、減少していくと思われます。

「本当はやりたくない」と思っているわけですから、自由時間の確保や作業効率化といった観点から、ますますオンライン化が進んでいくでしょう。

欲求:やりたいからやっている行動

一方で「欲求」とは、消費者がやりたいからやっている行動です。

いわゆる「〜したい(want to)」に該当するもので、たとえば以下のような行動があります。

  • 旅行
  • イベントへの参加
  • 店内での食事
  • ショッピング

こういった人と接触する活動は、コロナ収束後に回復する可能性が高いといえます。

むしろ、コロナ禍で自由に動けなかった反動から、コロナ前よりも利用者が増加する可能性があるでしょう。

「やりたい」「行きたい」といった感情のエネルギーはとても強く、周りから反対されたとしても実行してしまうときがあります。

コロナ禍でも、密集・密接になりやすい野外フェスに参加したり、パーティーをしたりする人を想像するとわかりやすいでしょう。

飲食店に関していえば「テイクアウトで十分じゃない?」という意見もあると思いますが、「お店で食べたい」「店内の雰囲気を味わいたい」と思う人も一定数います。

ショッピングも通販でどうとでもなりますが、「実際に商品を見て買いたい」と思う人も多いでしょう。

そういった人々の「欲求」に根付いた、人と接触するサービスであれば、たとえ今後もオンライン化が進んだとしても、需要はなくならないと考えられます。

【人と接する仕事のキーワード】

必要性:本当はやりたくないけれど、仕方なくやっている行動(ex. 通勤・出社、役場での手続き)

欲求:やりたくてやっている行動(ex. 旅行、野外フェス、お店で食事)

→ 「欲求」に根付くサービスであれば、コロナ収束後に回復する可能性がある

そのサービスを、消費者はどう感じているのか?

コロナの影響で、多くの仕事やサービスはオンラインでできることに人々は気づいてしまいました。

この大きな流れを止めることは難しく、人に会わなくてもできる業務などは、どんどんオンライン化されていくでしょう。

しかし、だからといって、直接体験や人と触れ合う場を人々が望んでいないわけではありません。

旅行やイベント参加、お気に入りのお店での食事など、人々が「やりたい」と思っている活動に関しては、コロナ収束後に回復する可能性があります。

そのため「今後も人との接触や移動を避ける傾向が続く」と言われたとしても、諦める必要はないのではないか思います。

社会全体の流れや外部環境の変化は脅威ですが、緊急事態宣言中でも外出したり、飲み会を開いたりする人がいるように、私たちが持つ「やりたい」という欲求には、強いエネルギーがあります。

「オンライン化が進んでいるから、接客業はもうダメ」と思うのは、あまりに安直といわざるをえないでしょう。

接客業をしている人は、Webを活用した打開策も考えつつ、人々が持つ欲求についても思考を巡らしてみるのがいいのではないかと思います。